ファンの期待を一身に受け続けた元朝潮高砂親方として託す夢

写真左から、高砂親方、朝乃山
写真左から、高砂親方、朝乃山

大相撲の長い歴史の中で人気者として愛される力士は数多く、ひと昔前であれば舞の海や高見盛が思い返される。そして、昨年引退した稀勢の里もその1人だ。最近では、バラエティー番組に引っ張りだこの炎鵬が当てはまる。しかし、ギャグ漫画のモデルになった力士は、朝潮以外にはいないのではないか。

そんな元朝潮の高砂親方と愛弟子の新大関・朝乃山が登場する「大相撲いぶし銀列伝 6周年記念SP!朝潮篇」が、フジテレビONEで6月18日(木)に放送される。土俵とお茶の間を沸かせた朝潮の相撲人生は、この番組の貴重なアーカイブ映像とトークなどからも伺い知ることができる。

■土俵の上とテレビの中、2つの期待

朝潮は当時としては珍しい、アマチュアで実績を残したエリート力士である。大学3年と4年の時に、アマチュア横綱と学生横綱のタイトルを獲得し、幕下付出デビューを飾る逸材に対する人々の期待は大きかった。なぜならアマチュアでこれに比肩するキャリアを誇る力士は、過去に輪島しかいなかったからだ。

デビューの年の九州場所で新入幕。そして、2年で三役までたどり着く。ここまでは期待通りだったが、大関を期待されながら足踏みをすることになる。2桁勝利する地力がありながら、なんとか勝ち越しという場所を交互に繰り返す。「万年大関候補」というのは、この時代の朝潮を象徴するワードといえるかもしれない。

ただ、当時最強横綱として君臨し、「憎らしいほど強い」と称された北の湖との相性が抜群に良く、通算成績は13勝7敗。今でいえば、白鵬を相手に通算成績で上回るようなものだ。このような姿を見せつけられては、ファンの期待せずにはいられない気持ちが分かるだろう。

期待される存在でありながら、殻を破り切れない。そういう力士がなぜギャグ漫画の主人公に成り得たのだろうか。それは朝潮の愛される人間性によるところが大きい。当時は力士のテレビ出演が多い時代だったが、バラエティー番組に最も多く出演していたのは朝潮だったことは間違いない。

視聴者が望む朝潮像を演じられたからこそ、そこには笑いが生まれた。求められる実力とギャップが生じている自分を受け止め、それすらも笑いに昇華する。そのおおらかさこそが朝潮の最大の魅力だ。自身がモデルになった漫画「ワイはアサシオや」を読んでいつも大笑いしていたというエピソードが、彼の人間性を物語っている。

■期待に応え続けた大関の6年間

大関昇進して以降、良い時は2桁勝利になんとか乗せるが、それ以外は勝ち越しラインでの攻防を繰り返した。その頃は千代の富士が抜群に強く、強い大関として若嶋津と北天佑がおり、大乃国、保志、北尾、旭富士、小錦といった次代の角界をけん引する力士たちが台頭する時代だった。

データという観点から見ると、上位が充実しているか否かで大関が残せる成績は大きく変化する。4横綱4大関の時と横綱不在1大関の時で、大関に期待される成績を算出すると、前者はおよそ8勝、後者はおよそ10勝で2勝の差がつくというデータがある。

つまり、このような時代の中で6年間大関を務め上げた朝潮は、期待値以上の成績を残すことができた大関だったといえる。また、カド番が3場所と非常に少なく、そのうち2場所は休場が絡んでいたということも、朝潮の実力を語る上で外せない。

■記憶に残る優勝、そして夢の続き

ただ、そんな中で朝潮は1985年大阪場所で、幕内最高優勝を成し遂げた。序盤で2敗しながらも、6日目から連勝。左四つの速攻がさえ渡り、相手に何もさせずに電車道で完封する朝潮の真骨頂といえる相撲を取り切った。

優勝後のスポーツ紙では、彼のニックネームである「大ちゃん」という見出しが各紙一面で躍った。多くのファンの期待に応えたその優勝は、大横綱の優勝や次代の有望株の優勝、そして平幕力士の優勝とも異なるものだった。

そして現在、高砂親方として定年退職が迫る中で、同じ近畿大学出身で今年3月に大関に昇進した朝乃山が台頭してきた。「次は和製の横綱を作りたい」という言葉は、自らが期待に応えようと努力しながらも成し得なかった夢の続きを朝乃山に託そうとしているように思える。

文=西尾克洋

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放送情報

大相撲いぶし銀列伝 6周年記念SP!朝潮篇
放送日時:2020年6月18日(木)21:00~ほか
チャンネル:フジテレビONE スポーツ・バラエティ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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