新型コロナウイルスへの徹底した感染対策を施しながら、様々なスポーツ競技の国際大会が徐々に再開されている。ISUグランプリ(以下、GP)シリーズが開催中のフィギュアスケート界においても、今季は特別な取り決めも多い。"国内運営大会"となったGPシリーズ各大会では、"開催国出身の選手または開催国を練習拠点とする選手"が1大会のみ出場という制限が設けられている。
開催直前に、第2戦(カナダ大会)と第4戦(フランス大会)が中止となる中、世界王者ネイサン・チェンは初戦のアメリカ大会に出場。2位以下に大差をつけて優勝し、大会4連覇を飾った。
11月20日(金)からは、第5戦のロシア大会が開催される。同大会の注目は、シニアデビューとなった昨年、GPファイナルで表彰台を独占したアリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワの"ロシア3人娘"の動向だ。紀平梨花選手ら4位以下を大きく突き放した昨季のGPファイナルは、まさに"女子フィギュア新時代"を印象づける圧巻のスケーティングで世界を大いに驚かせた。
GPファイナル女王のコストルナヤは、4回転ジャンプこそないものの、完成度の高いトリプルアクセルと滑りの技術力に加え、長い腕を生かした表現力が抜きん出た選手だ。GPファイナルでは、歴代最高となる合計247.59点というスコアを記録。今季からはトゥルソワと共に、ロシアの皇帝エフゲニー・プルシェンコ氏に師事していることも大いに話題を集めている。
GPファイナル2位のシェルバコワは、シニアの女子選手で4回転ルッツを初めて成功させ、4回転ルッツと3回転トウループのコンビネーションジャンプという離れ業までやってのけた。また、演技以上に注目を集めたのが、昨季のフリー「火の鳥」で披露したスピンしながらの"衣装チェンジ"だ。鮮やかな青色から"火の鳥"を想起させる真っ赤な衣装への早替えは、実に艶やかで会場のファンを一瞬で虜に。今季は、国内ロシア杯でシックな濃淡のグレー地の新衣装を披露しており、昨季とはガラリと印象を変えた大人びた雰囲気にも注目だ。
そしてGPファイナル3位だったトゥルソワは、世界屈指の4回転ジャンパーだ。昨季の第2戦・カナダ大会のフリーでは、なんと4回転ジャンプを4回跳ぶという構成で、世界新記録を叩き出している。その構成の難易度は男子のトップ選手レベルで、まさに女子選手における"4回転ジャンプ新時代"を牽引する選手と言えるだろう。
そんな彼女たちは、国内王者を決めるロシア選手権の出場権を目指し、国内ロシア杯(全5戦のうち各選手が2大会に出場)でしのぎを削っている。残すは12月の第5戦のみだが、これまでの第4戦ではシェルバコワが2勝、トゥルソワが2勝を獲得。ケガの影響もありコストルナヤは出遅れているが、この3選手のほか、日本でも人気の高いエリザベータ・トゥクタミシェワ選手が一堂に会するGPシリーズ第5戦・ロシア大会(11月20日~22日にテレ朝チャンネル2にて生中継)は、現時点において世界一ハイレベルな戦いであることは間違いない。
まだまだ先行き不透明な中、手探り状態で進む今季のフィギュアスケート。テレ朝チャンネル2では、11月26日(木)~28日(土)に第1戦・アメリカ大会の"完全版"が放送される。今シーズンは競技会の開催自体が貴重なだけに、王者ネイサン・チェンら世界最高峰のスケーティングを存分に味わいたい。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
グランプリシリーズ2020 第5戦 ロシア大会(生中継)
男子ショート 放送日時:2020年11月20日(金)19:25~
女子ショート 放送日時:2020年11月21日(金)1:20~
男子フリー 放送日時:2020年11月21日(金)19:25~
女子フリー 放送日時:2020年11月22日(土)1:05~
エキシビション 放送日時:2020年11月22日(土)20:55~
グランプリシリーズ2020 第1戦 アメリカ大会(完全版)
放送日時:2020年11月26日(木)8:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2 ニュース・情報・スポーツ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら