竹下幸之介 DDT王者の矜持【動画あり】

KO-D無差別級王者・竹下幸之介選手
KO-D無差別級王者・竹下幸之介選手

バラエティ豊かなレスラーが活躍するDDTプロレスリングを最前線でけん引しているのが、至宝・KO-D無差別級王座のベルトを腰に巻く竹下幸之介だ。2012年に高校生として日本武道館大会でデビュー。メキメキと頭角を現し、団体のトップ戦線に駆け上がった。2017年3月に2度目のKO-D無差別級王座戴冠。ボディビルでも通用するほどのマッチョな肉体と強気なファイトスタイルを武器に、同王座最多記録となる11度の防衛を果たした。この春に日本体育大学を卒業。気持ちを新たにした22歳の王者は、4・29後楽園ホールで入江茂弘相手にV12戦が控えている。そんな竹下に防衛戦に向けた意気込みを聞いた。

3・25両国国技館大会では石川修司選手を破り、KO-D無差別級王座11度目の防衛を果たしました。石川選手には2016年8月に同じ両国でベルトを奪われていただけに、1年半越しの雪辱となりましたね。

竹下「1年半前のあの試合から、グイグイとのし上がっていこうという思いが僕の中に強くあったんですけど、そこで今まであったDDTのビッグマッチの中でも類を見ないほど圧倒的に負けてしまったんです。正直、完敗でした。あの頃、大学2年生だったんですけど、3年からゼミに入ることになったので、それで『何かプロレスに活かせるゼミに入ろう』と考えたんですね」

石川戦の完敗を払拭するためにも、肉体を単純に鍛えるだけでなく、研究して一から立て直そうと。

竹下「はい。それで、"スポーツバイオメカニクス"という専門的なゼミに入ったんです。動作分析を専門的にやるゼミで、そこで僕はプロレス技を研究しようと考えて。2年間を費やして、必殺技のジャーマンスープレックスを研究しました。1年半前も195cm、130kgの石川修司を投げられはしたんですけど、低くて力任せで、自分の満足いく形ではなかったんです。負けたこと以上にそれに後悔が残っていたんですね。今回は正調のジャーマンスープレックスで取ることができたんで、自分のやってきたことは間違ってなかったなという証明になりました」

試合後に海外遠征から帰国した入江茂弘選手が乱入して対戦を要求してきましたね。紆余曲折の末、4・29後楽園ホール大会でタイトルマッチが決まりました。2人の戦いを振り返る上で、避けられないのが2015年10月の後楽園大会での一騎打ちです。毎年ファン投票で争われる「DDTドラマティック総選挙」で竹下選手は24位、入江選手は25位とお2人とも結果が振るわず、本戦前のダークマッチで対戦して引き分けました。

竹下「2014年からの1年は自分の中でメチャクチャ踏ん張った年で、やりきった思いがあったんですけど、総選挙の結果は振るわなかった。入江さんも頑張っていたのに、結果には繋がらなくて。『僕たちのプロレスは今のDDTにあってないんじゃないか?』という気持ちになりました。かなり葛藤がありましたね。大人に持っている不満とか、憧れだとか、いろんな気持ちがダークマッチの10分間に全て詰まってたかなと。だから、僕の中で印象的な試合の1つですね」

最近の入江選手について「何か見えないものと戦っている」と表現していたのが印象的でした。そして、「僕もそうなんで、それがわかる」と。

竹下「プロレスっていうのはもちろん相手あってのものなんですけど、目の前の敵だけじゃないんですよね。会社であったり、お客さんであったり、いろんなものと戦わないといけない。ただ、僕はチャンピオンを1年間やって、そういう戦いをあんまり考えなくなったんですね。自分のやりたいことをやる。自分が一番強いんだから、そこに文句を言わせないというスタンスなんで。でも、入江さんはそういうことが気になっちゃうんだと思うんです。周りにわかってもらえないという迷いを凄く感じるんですよね。もっと自分のやりたいことをやればいいのになと思いました」

写真左・入江茂弘選手

(C)DDTプロレスリング

奇しくも入江選手は元KO-D無差別級王者であり、竹下選手が更新する前の連続防衛記録を作ったレスラーでもあります。共通点があるのも興味深いなと。

竹下「だから、なんでしょうね...もしかすると見せたいプロレスは一緒なのかもしれないですけど、その見せ方は人それぞれなんで。そういうイデオロギーがぶつかるから、プロレスは面白いのかなと思います」

石川戦の後にリング上で「ベルトを落とす時は全ての糸が切れる時。でも、まだ切れてない」という発言がありました。1年前に王者になった頃と比べると、強い覚悟、もっと言うと悲壮感や陰みたいなものが竹下選手から感じられるようになった気がします。

竹下「大会が終わったら、僕は自分の試合映像を見たりするんですよ。その時は竹下幸之介として見るのではなく、いちプロレスファンとして客観的に見るんですけど、だんだん竹下チャンピオンは悲しげになってきましたね。勝てば勝つほどに。最初にチャンピオンになった瞬間はギラギラと輝いていたんです。でも、今は勝てば勝つほど悲しいオーラが漂ってますね」

それは仕方ない部分でもありますよね。ベルトを奪取した瞬間は「時代を変えた」なんて言われますけど、防衛をこれだけ重ねていけば閉塞感が生まれてしまうのは避けられないことで。そして、そういう陰は新しい魅力でもありますし。

竹下「ただ、そんなふうに感じていても、やっぱり負けたくないんですよね。試合前だとぶっちゃけ『勝っていいのかな』って迷う場面がいっぱいあるんですけど、試合の終盤になると、『やっぱり負けたくない!』って意地を出しちゃうんです。その結果、こうやって防衛が続いてきて。今は応援してくれる人のために、1回でも多く勝ちたいという気持ちで防衛戦に臨んでいます。今度の入江戦もそうですよ。やっぱりこれだけ防衛していると自分が強くなるんです。多少のことではへこたれないですし。タイトルマッチのたびに本当に魂が削れていくんで、身体もボロボロになるし、心もボロボロになっていきますけどね。いつかベルトを落としたとしても、チャンピオンになる前の竹下幸之介とは別人になっていると思います」

文=村上謙三久 撮影=中川容邦

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放送情報

完全生中継! DDTプロレスリング 「MAX BUMP 2018」 2018.4.29 後楽園ホール

放送日時:2018年4月29日(日)12:00~

チャンネル:FIGHTING TV サムライ

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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