「ウエストワールド」にはJ・J・エイブラムズ作品の魅力が詰まっている！

シーズン2が5月より放送される「ウエストワールド」の製作総指揮には、J・J・エイブラムズが名を連ねている。海外ドラマファンにはおなじみの大物クリエーターだ。

映画『アルマゲドン』の脚本家として一躍有名になったエイブラムズは、その後テレビ界にも進出し、「エイリアス」(2001～2006年)、「LOST」(2004～2010年)などのヒットドラマを次々と世に送り出してきた。ハリウッドにおいても、トム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル3』(2006年)で映画監督デビューを果たし、製作・監督を務めた『スター・トレック』の劇場版新シリーズ(2007年、2013年)も大ヒット。2015年には監督・脚本・製作を手掛けた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が世界興行収入20億ドルを記録し、最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でも製作総指揮を務めている。

数多くのヒット作の中で、一大ブームを巻き起こしたテレビドラマがエイブラムズ製作・監督・脚本による「LOST」だ。無人島に墜落した旅客機、島に隠された秘密、そして登場人物たちの過去。これらの要素が交錯しながら展開するミステリアスなストーリーは、視聴者をくぎ付けにした。日本では「LOST」と同時期に「24-TWENTY FOUR-」「プリズンブレイク」などが人気を集めており、日本での海外ドラマブームの火付け役ともなった。他にも「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」(2011～2016年)、「FRINGE/フリンジ」(2008～20113年)など、エイブラムズが製作総指揮として携わったヒットドラマは枚挙にいとまがない。

「ウエストワールド」は、そんなエイブラムズ作品の魅力を凝縮したドラマでもある。

彼が手掛けたドラマの大きな特徴の1つは＜謎が謎を呼ぶプロット＞だ。「LOST」や「FRINGE/フリンジ」では、見え隠れする大きな秘密を追い掛けながら各話のエピソードが展開。シーズンを追うごとに隠された秘密が次第に明らかになっていった。「ウエストワールド」のシーズン2でも、アンソニー・ホプキンス演じるフォード博士の真の思惑や、外の世界を夢見るアンドロイドたちの運命など、謎めいた要素の真相が徐々に解き明かされていくことになるだろう。また、シーズン2には、日本人キャストの真田広之、菊地凛子が出演するのも見逃せないポイントだ。

そして、エイブラムズ作品のもう1つの魅力は＜リアリティのあるSF描写＞。「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」は監視カメラによる犯罪予測という設定の下で物語が展開し、現実社会で監視カメラに囲まれて暮らす私たちにとって"現実にあってもおかしくない"と思わせる仕掛けを施した。「FRINGE/フリンジ」では科学とオカルトの間にある事件を、絶妙なバランス感覚でリアリティを持って描ききった。どちらもSF的な着想が作品の肝となっているが、"どこか遠い場所の話"にしてしまうことなく、リアリティのある描写によって現実味と説得力のある物語世界を構築している。

「ウエストワールド」でもリアルな描写が随所でストーリーを支えている。「ウエストワールド」が描く＜自我を持つ人工知能＞はSFにおける"王道"とも呼べるテーマだが、人工知能やシンギュラリティ(人工知能が人間を超える技術的特異点)がにわかに注目を浴びている今だからこそ、リアリティと"重み"を伴って私たちの胸に響くのだ。

文=editaholic

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