本編は、笹木が「運営が『さくゆいちゃんねる』に新しい動画をあげろと急かしてくる」という悩みを椎名に明かす場面からスタート。人里離れた温泉でのんびりしながらアイディアを出したい、という笹木の提案に椎名が同意すると、荷物持ちにチャイカが呼び出されることに。後日、椎名がネットで見つけたという、うさんくさい温泉旅館「虹ノ湯」へ向かうと、そこには若女将役の小野町春香、従業員Aの早瀬走、従業員Bのイブラヒムが、集客のためのアイディアをひねり出していた。「インフルエンサーに動画を撮ってもらうために、いろいろと仕掛けよう」と従業員Aが提案する中で、ステージは暗転。再びステージが明るくなると、そこには怪しげなサングラスをかけた、怖いお兄さんA役の加賀美ハヤト、怖いお兄さんB役の四季凪アキラの姿が。客席から歓声とどよめきが沸き上がるなか、後輩の四季凪がハリセンで加賀美の頭を叩き、加賀美が「すみません、兄貴!」と謝るという、リアルな関係とは逆転している設定でコントが展開。彼らも「虹ノ湯」に赴き、若女将にあるモノの返済を迫る。先立つものがないという若女将は、さくゆいに動画を撮りたくなるようなおもてなしをかまし、その宣伝効果で宿泊客をどんどん呼びこめば返済できるとし、「動画アップでメニーのマニーががっつりがっぷりこいつはもう笑いが止まらねえぜ作戦」の開始を宣言する。
登場人物の中で唯一の常識人設定のイブラヒムによるツッコミや、「虹ノ湯」ゲームコーナーで「無料懺悔室」を開設しているシスター役に扮したシスター・クレアの圧倒的な演技力など、さまざまな見どころが散りばめられたコント劇場。なかでも、「無料懺悔室」でのアドリブ懺悔や、従業員A・早瀬の観客を巻き込んだキレ芸、笹木&椎名&チャイカの温泉入浴シーンなどで炸裂する、各メンバーのお笑いセンスの高さには驚かされること必至だろう。
カーテンコールでは、座長のさくゆいから「本番直前まで合わせていた」「同じ熱量でお笑いができた」「劇場になる前から配役は決めていた」といった裏話も明かすなど、最後まで観客を楽しませ続けた「さくゆい劇場」。彼女たちが作り上げた初のエンターテイメント・ステージは、観客からの温かい拍手と共に幕を下ろした。
文=中村実香
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