宇垣美里が語る、松山ケンイチの可愛さもピカイチ!青春時代の空気がギュッと詰まった「リンダ リンダ リンダ」 <宇垣美里のときめくシネマ>

一つの事件をきっかけに生徒たちの人間関係の歪みが浮かび上がってくる「桐島、部活やめるってよ」
一つの事件をきっかけに生徒たちの人間関係の歪みが浮かび上がってくる「桐島、部活やめるってよ」

⒞2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

キラキラしたところ、宝物のように輝く日常のかけがえのなさだけが青春じゃない。狭い学校の、さらに狭い教室に押し込められた有象無象。肥大化した自意識を抱えた生ける爆弾のような十代を捕まえて、住んでいる場所や偏差値だけですし詰めにした挙句に「みんな友達だよ!」だなんて、まったく乱暴極まりない。そこで比較され色分けされ続けるあの日々は、今考えてもまったくもって狂気の沙汰。そんな青春の残酷な一面を、独特な空気感を、これでもかと言わんばかりに見せつけてくるのが「桐島、部活辞めるってよ」だ。

田舎の高校でバレー部のエースである桐島が部活を辞めるというニュースが駆け巡る。学校のスターだった桐島の退部を巡り、桐島の親友や彼女、その友人たちや、果ては関わりのあまりないクラスメートにいたるまで、学校の人間関係に歪みが生まれていく。

神木隆之介に東出昌大、橋本愛、山本美月に松岡茉優......今思うとあまりにも豪華な面々のフレッシュな演技を味わうことができる本作。同じ時間を異なる視点から語り直すことで、人によって世界がまるで違うように見えていることが分かってくる。いわゆる"スクールカースト"が生々しく描かれており、クラスの一軍男子や一軍女子、その中にいながらどこか居心地が悪そうな女子や吹奏楽部に映画部といった文化部など、必ず誰かに感情移入してしまうと共に、そこから自分の学生生活と照らし合わせて、思わず語り出したくなってしまうことだろう。

神木隆之介、東出昌大らの思いがあふれ出すような表情に胸が締め付けられる
神木隆之介、東出昌大らの思いがあふれ出すような表情に胸が締め付けられる

⒞2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

この作品を初めて見た時、私は大学生で、なんとなく居心地が悪かったことを覚えている。でも高校時代と距離の近かったあの頃よりも、ずっと遠いところまで離れてしまった今の方がぐっと刺さる。終盤の屋上でのシーンの神木隆之介、さらにその時の東出昌大のなんともいえない思いの溢れ出しそうな表情といったら。ずっと変わらず自分を信じ続けている野球部キャプテンの在り様に勇気づけられた。

もう一度やり直せ、と言われたら全速力で逃げ出してしまうだろう、青春。それでも時に振り返りその思い出に浸りたくなるのも青春で。帰れない場所だからこそ、時々映画の中でその空気に触れて何かを思い出したような気持ちになりたくなる。大人になった私を、あの頃の私はどう見るだろうか。褒めてくれたら、いいな。

文=宇垣美里

宇垣美里●1991年生まれ 兵庫県出身。2019年3月にTBSを退社、4月よりオスカープロモーションに所属。現在はフリーアナウンサー・俳優として、ドラマ、ラジオ、雑誌、CMのほか、執筆活動も行うなど幅広く活躍中。

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放送情報【スカパー!】

リンダ リンダ リンダ
放送日時:2024年10月18日(金)19:00~、23日(水)19:00~

桐島、部活やめるってよ
放送日時:2024年10月21日(月)19:15~
チャンネル:WOWOWシネマ

リンダ リンダ リンダ
放送日時:2024年10月29日(火)14:30~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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