岩本勉折茂武彦が北海道のスポーツ文化を熱く語る!

しかし、レラカムイは経営不振等で消滅してしまいました。その後、折茂さんがチームを立ち上げられましたが、そのときのお話をお聞かせください。

折茂「チームは1月にリーグから宣告を受けて、すぐに東北の大震災がありました。リーグが中断になり、チームもなくなりました。僕は選手ですから、一番簡単なのは移籍してしまえば楽なんですけど、本当にここが最後だと決めていたし、北海道というのは、マスコミの方々もファンの方々も、野球とサッカーの選手とバスケット選手を同じように扱ってくれるんですよ。そこがすごく嬉しくて。僕は野球が大好きで、野球選手になりたかったんです。だからこそ、野球選手やサッカー選手に負けたくないという想いでずっとやってきたんです。そういう中でチームがなくなってしまった。でもやっぱりファンの方があれだけたくさん応援してくれて、ずっと4年間、チームがなくなるまで「本当に来てくれてありがとう」って言われるわけですよ。これだけ感謝されて、これだけ必要とされて、こんな地域からバスケットチームをなくしては、北海道にとっても、日本のバスケット界にとっても損失だと思って、まあ軽い感じで始めましたよね。当然、経営者ではないので右も左も分からない。1年目から赤字を抱えちゃうわけです。選手に給料も払えなくなって、それだけは避けたいと思ったのですが、明日払う給料もない。そうしたら自分の身銭をきっていくしかないわけですよ。自分は給料もらえない、選手に全部払っていくというのを1年間続けたら、全財産なくなって、最後は車まで売って。それでも足りなくて、いまのメインスポンサーのところにお願いをしにいったんです。それでノーと言われたらアウトだった。ただ、そこまで頑張っているんだったら応援するよ、と言ってくれた。だから立ち上げから最初の2年間くらいは自分でなにをしたか覚えていないんです。人生で初めて眠れないことも経験したし、自分がなにをやっているのかも分からない。社員も2~3人くらいしかいないなかで、チケットまわりから営業から全部ですよ。いま考えると、寝ないで仕事してくれていたと思います。それくらい、みんな大変な思いをしても告知ができなくて人が入らないんですよ。だから、本当に2、3年は苦労どころじゃなかった」

岩本さんはその頃から、折茂さんと面識があったんでしょうか?

岩本「共通の知り合いから紹介していただいて。学年が1つ上の方がバリバリやっていて、経営もされている。僕は現役を退いていたので、尊敬の念で見ていました。野球が好きでやられていたということで、僕が野球解説やっているときに折茂さんにゲストできていただいたんですけど、バスケットで超一流になった方の意見を聞いて、とても勉強になりました。あと共通点は、止まったボールに力を与えて、そこからドラマが起きる。そういうシーンがあるんですよ。僕はピッチャー、折茂さんはフリースロー。よく一球入魂というじゃないですか。そこは全く同じなんですよ」

折茂「メンタルですからね。ピッチャーの人が練習でストライク入れろと言われて普通に投げたら入るんですよ。僕らもフリースローなんか練習中はほぼ入るんですよ。でも大事なのは試合のメンタルなんです。僕は「とらわれない」という言い方をしているんですけど、悪いことだったり、ミスすると絶対とらわれて、それが頭の中に残っている以上は入らないと思うんです。ストライクもフリースローも。それをとらわれないようにする、それの切り替えがうまくできる人ってすごいと思います」

岩本「種目は違うんですけど、球技、チームプレーといった人間の共通事項があるんですよ。サッカーしかり、バスケットしかり、野球しかり、共通点がたくさんあるので交流はどんどん増やすべきですし、北海道はそれができる土地だと思います。情報の共有とか、競技を超えたアスリートの交流というのは、ものすごい強みになる」

実際レバンガと日本ハムファイターズはコラボレーションしていますよね。

折茂「昨年もコラボさせてもらって、ユニフォームをファイターズのカラーにさせてもらったり、栗山監督にご来場していただいたりしました。同じ北海道にあるプロ球団なので交流をしていきたいなと思いますが、僕が野球を好きすぎちゃって(笑)。北海道にきてなにが嬉しかったって、ファイターズの野球選手と話ができる、関わりを持てる。始球式もやらしてもらいました。もう、本当に頭が真っ白ですよ。野球ファンからしてみれば、あのグラウンドに立てる、野球選手と話せるなんてことは思ってもみないことだし、こうやって岩本さんと仕事ができたり、話ができるということは、僕の中では夢のようなんですよ」

岩本「選手たちに、いまの折茂さんの言葉を伝えたいですね。それを意気に感じて、感謝の気持ちとともにプレーしましょうと。こうやってアスリートの先輩までもがリスペクトしてくれるんです。それに応える行動や発言ってありますよね、ということを伝えたいです」

レバンガは昨年の17−18シーズンの平均入場者数が前年より1,000名ほど増えて、リーグ2位だという話ですけど、その秘訣といいますか、要因はあるんですか?

折茂「実際、なにをしたから人が集まったとか、人が増えたって分からないんです。だから、その要因、やったことを全てやりつつも、また更に今季はそれ以上のことを、新しいことをやっていかないと。選手は、午前中に練習して、また17時半くらいから練習して、その間に学校訪問に行っているんですよ。休みのときでも、練習の合間でも、シーズン中でも、そうやって子どもたちにバスケを教えに行ったり、小学校を訪問して一緒に給食を食べたり、いろんな活動をしているので、その積み重ねが、いまこうして動員が増えてきた要因だと思うんです。そういった意味でも地域貢献をしっかりとやっていく。ファイターズもコンサドーレもそこは一生懸命やっていて、特にファイターズが2004年に来て、そういった活動を通して、観る文化を作ってくれたんだと思います」

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Bリーグ 2018-19
放送日時:2018年10月4日(木)予定
チャンネル:Bリーグセットで全試合放送

プロ野球 クライマックスシリーズ
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チャンネル:プロ野球セット

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