岩井勇気の推しアニメ>7人の中学生が迷い込む「かがみの孤城」とは?自身や他者との向き合い方をトレーニングする空間

⒞2022「かがみの孤城」製作委員会
⒞2022「かがみの孤城」製作委員会

学校や家庭にトラブルを抱えた中学生7人が謎の孤城に集められる

■こころたちが成長する過程を何度も観返したくなる

共存するということは、相手の嫌な部分をどう認めていくか、折衷案を作る作業です。各々が自分の内面と向き合うことで、自分というものが浮き彫りになる。そういう形での解決策を、この映画は見出している気がしました。きっと本作における孤城は7人にとって、自分の嫌な部分と向き合うきっかけになる場所であり、痛みを共有できる友達がいる逃げ場所であり、コミュニケーションを学ぶ訓練所だったのだと思います。

そうしたストーリーの雰囲気に一役買っていたのが、アニメーションの色使いです。派手な原色などどぎつい色は使っておらず、しっとりとして湿度が高く見える。原作を読んではいませんが、きっとこういう雰囲気なのかなというのが伝わってきました。また、ストーリーが展開していくうえでのカラクリもしっかりあったのに、それをすごく控えめに描いていたのも好印象です。真実を明らかにする時、「実はこうでした!」と煽るようなことはせず、終わる直前にさらっと触れるくらい。でもそれによって、キャラクターたちの心情とちゃんと向き合うことができました。

⒞2022「かがみの孤城」製作委員会
⒞2022「かがみの孤城」製作委員会

孤城で日々を過ごすことで、自身や他者と向き合うトレーニングをしていくこころたち

この作品は2回3回と言わず、もっと何度でも観てほしいです。最初に孤城に来た時の7人と、最後に孤城を出る時の7人では、考え方や表情だけでなく人間性までも違っています。もう1回観れば、「最初はこの子、こういう子だった」というふうに改めて気づけて、「なんでこんなこと言っちゃうのかな」とか「なんでこういう態度を取るんだろう」と、キャラクターの気持ちを考えながら観ることができます。真実を知ってからだと視点が変わるし、誰に注目して観るかで捉え方も変わる。観る回数を重ねることによって、得られる感動や感想が変わる作品じゃないでしょうか。

取材・文=榑林史章

岩井勇気●1986年生まれ。幼稚園からの幼なじみである澤部佑とのお笑いコンビ「ハライチ」として活躍。初のエッセイ集「僕の人生には事件が起きない」が17刷り重版中。放送されるアニメ作品はすべてチェックし、テレビ朝日で放送中の「まんが未知」など、漫画やアニメに関する番組でもMCを務める。

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放送情報【スカパー!】

かがみの孤城
放送日時:2023年8月5日(土)20:00~、13日(日)12:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

かがみの孤城
放送日時:2023年8月6日(日)11:30~、8日(火)20:00~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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