
ソロバトルパートに入ると、会場の空気は一段と引き締まった。グループ戦とは打って変わって、今度はステージに立つ一人ひとりの「個性」と「本気」がまざまざと浮かび上がる。課題曲もジャンルもバラバラ。誰もが知る人気曲を、それぞれのアイドルが"自分だけの表現"で踊り切る瞬間は、会場を見守る観客にも心地よい緊張感と高揚感をもたらしていた。
Ado「唱」を披露した坂本と北乃は、堂々とした存在感と爆発力のある表現で魅せた。坂本はダイナミックな動きと繊細な手先の表情が印象的で、会場の視線を一身に集めた。北乃もまた、"内に秘めた熱"が一気に弾けるようなパフォーマンスで、曲の持つ勢いと鋭さをしっかりと体現していた。
Mrs. GREEN APPLEの「ダンスホール」を担当したみなみとあいすは、楽しさとグルーヴを全身で表現。みなみは観客と一緒に踊っているような一体感を生み出し、思わず手拍子が広がった。あいすはリズムの緩急を巧みに使い分け、まるで曲と遊んでいるかのような軽やかさ。2人とも自然体の笑顔が印象的で、ステージに立つ喜びがストレートに伝わってきた。
ちゃんみな「ハレンチ」を踊った七海と安杜は、それぞれ違った色気と表現力で観客を圧倒。七海はクールな佇まいの中に、時おり見せる鋭い目線や仕草で「大人の余裕」を感じさせた。一方の安杜は、まっすぐなパッションと大胆な動きで楽曲の世界観を塗り替え、"アイドルの枠"を越えた表現に挑んでいたのが新鮮だった。
Creepy Nuts「オトノケ」では、広本と辰巳がそれぞれ自分らしさを存分に発揮。広本はキレのあるステップと抜群のリズム感で楽曲の難易度を感じさせない安定感を見せ、辰巳は攻めの姿勢と挑発的な視線で観客を一瞬で引き込む。2人のアプローチは違えど、どちらも"このステージでしか見られない"一瞬を残してくれた。

無事にパフォーマンスを終え、まずチームせんべいの坂本は「ここまでみんな一人ひとりかっこよくて、ぶつけ合っている姿が感動しました。最高でした!」、あいすは「横で待っている時に勝手に体が動いちゃうくらいみなさんの踊りがすごくて、ライブの時より喉が枯れそうです(笑)」、七海「もう終わっちゃうって寂しいなって。でも悔いなくやれたの楽しかったです」、辰巳は「体で表現するのはすごく素敵なことだし、大好きなことなんだなって改めて感じました」と振り返る。
そして、踊れるカワイ子ちゃんs'の北乃は「楽しい時間だったので一瞬で過ぎちゃいました 。緊張しましたが見てくださる方の温かい声援で頑張れました。貴重な経験でダンスがより好きになりました」、みなみは「アイドルにダンスは必要ないと思って10年やってきたのですが、今日この8人がアイドルにダンスが必要だと証明したと思います!」、安杜は「こんなに一生懸命ダンスを見せてくれるアイドルがいるんだなって再確認できたことが、本当に私のアイドル人生で大きな光となりました」、広本「ここに集まってるみなさんは、見ながら尊敬って言いたくなるダンスをされるからすごく楽しくて今日この日があってよかったです」ととしみじみ語り、会場には温かい拍手が包み込む。
バトルの後、審査員のBBOY Kakuが「マジでジャッジしたくないです(笑)」と感想をこぼす中で、いよいよ勝者が発表される。審査員の票が割れる接戦を制したのは踊れるカワイ子ちゃんs'。チーム名を呼ばれたメンバーたちは思わず顔を見合わせ、仲間同士でたたえ合うその光景は、ライバルを超えた"最高の青春"そのものだった。
この日、Zepp Shinjukuから誕生した「IDOL DANCE BATTLE『VERSUS』」は、"踊れるアイドル"が当たり前になる未来への大きな一歩を刻んだ。歌やMCだけでなく、ダンスを武器に自分らしさを表現し、グループの垣根も越えて本気でぶつかり合う彼女たちの姿は、次世代アイドル像の象徴となるはずだ。観客の記憶に強く残るこの体験が、これからのアイドルシーンをさらに切り拓いていくに違いない。
放送情報
IDOL DANCE BATTLE「VERSUS」
スカイA
#1 7/28(月)午後10:00~午後11:00
#2 8/4(月)午後10:00~午後11:00
詳しくは
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