日向坂46のセンター、小坂菜緒の「女優としての才能が光る瞬間」

小坂菜緒
小坂菜緒

6月1日(水)に発売される日向坂46の7枚目シングル「僕なんか」で、3作ぶりにセンターに返り咲いた小坂菜緒。小坂はけやき坂46の2期生としてアイドル活動を始め、グループが日向坂46に改名後、デビュー作から4作目まで4作連続でセンターポジションを務めたいわば"日向坂46の顔"だ。また、アイドル活動の他にも女性誌の専属モデルを務めるなど多才な人物。そんな彼女の女優としての才能が光る姿を観られるのが映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」だ。

同作品は、1998年の長野五輪でのスキージャンプ団体の金メダル獲得を陰で支えたテストジャンパーたちの知られざる実話を、田中圭主演で映画化したもの。スキージャンパーの西方仁也(田中)は1994年のリレハンメル五輪の団体戦で日本代表をけん引するが惜しくも金メダルを逃し、長野五輪で雪辱を誓うも代表を落選してしまう。悔しさに打ちひしがれる中、競技前にジャンプ台に危険がないかを確認するテストジャンパーを依頼され、裏方に甘んじる屈辱を感じながらも、それぞれの思いを抱えて集まったテストジャンパーたちと準備に取り掛かる。そして五輪本番、1本目のジャンプを失敗した日本代表が逆転を狙う中、猛吹雪によって競技が中断。審判員たちは「テストジャンパー25人が全員無事に飛べたら競技を再開する」という判断を下し、日本の金メダルへの道は西方らテストジャンパーに託される、というストーリー。小坂は、オリンピックを夢見る唯一の女子高校生テストジャンパー・小林賀子を演じる。

(C)2021映画『ヒノマルソウル』製作委員会

小坂の女優歴を紐解くと、舞台、ドラマ、映画と、主演を務めた作品も含めて出演作は少ないわけではない。だが、日向坂46のメンバー全員が出演したものではなく小坂個人として出演したものでは同作が2作目で、一人の女優として名だたる俳優陣と交わす芝居から、彼女の"女優としてのポテンシャル"を垣間見ることができる。

まず目を見張るのが、キャラクターとしての存在感だ。主要キャストは田中圭、土屋太鳳、山田裕貴、眞栄田郷敦、濱津隆之、古田新太といった"存在感"あふれるそうそうたるメンバーなのだが、そんな中で小坂は周りに飲み込まれることなくオンリーワンの存在感を放っている。演技経験が全くないわけではないとはいえ、共演者たちの経験値に比べたら演技経験はないに等しいはずの彼女が、なぜ共演者たちと遜色ない存在感を発せられるのだろうか?

それは芝居のテクニックではなく、心で演じているからだ。"心で演じる"というのは芝居の1丁目1番地、基本中の基本であると同時に、核となる本質でもある。"芝居"という『動きから台詞までが決められたがんじがらめの状態で感情を乗せる』という行為は、其の実、言うは易く行うは難し。だからこそ、本質である"心で演じる"ことを追求する手段としてテクニックがある。逆に言えば、"心で演じる"ことさえできれば、感情が所作や表情、視線の動きにまで宿り、芝居としての説得力を纏うことができる。小坂の演技はまさにこれで、演じている小林には1秒も途切れることなく感情が流れていて、いわゆる『血が通った芝居』『役として作品の中で生きる』ということ実現させている。

(C)2021映画『ヒノマルソウル』製作委員会

一つ例を挙げると、「なぜ俺がテストジャンパーなんかに...」という思いを抱えてなかなか真剣に取り組むことができない西方に対して小林が自身の思いをぶつけるシーンでは、1998年当時はオリンピック種目に女子のスキージャンプは入っておらず、女性がいくら頑張ってもオリンピックに出られないこと、それでもジャンプへの強い愛情を持っていていつか女子のジャンプがオリンピック種目に入ることを願って頑張っていること、そういった背景からテストジャンプでも自身にとっては夢のオリンピックであることなどを訴え、西方の凝り固まった考えを打ち砕くきっかけを与えるのだが、強い信念からくる思いを表す語調、西方を真っ直ぐに見据える目の光などで、置かれた境遇にくさることなく前だけを見て進む小林を表現。さらに、芯の強さや少し頑固なところ、年上の男性にも気後れしないといった人間性までも描き出している。

(C)2021映画『ヒノマルソウル』製作委員会

中でも、特筆すべきは思いの丈を打ち明ける場面で全く瞬きをしていないところだ。人が本気で何かを訴える時、相手を強く見つめるだけでなく自然と瞬きの回数が減る、もしくはなくなる。演技経験が豊富な共演者たちなら、そういう身体的な変化を分かった上で、テクニックとして本気であることを表現するために瞬きの回数を意図的に減らすということはあるだろう。だが、おそらく小坂は自然とそうなっているのだ。それは、台詞ではなく本気で心から出た言葉として発しているからに他ならない。

そんな各所にちりばめられた小坂の"女優としての才能が光る瞬間"を探しながら、人気アイドルグループのセンターではなく一人の前途有望な女優としての顔を見つめて、彼女の多才さを感じてみてほしい。

(C)2021映画『ヒノマルソウル』製作委員会

文=原田健

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放送情報

ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~
放送日時:2022年5月14日(土)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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