音楽への情熱と音楽で結ばれた寺沢勘太郎一家[寺岡呼人岩沢厚治(ゆず)内田勘太郎(憂歌団)] の巡業の旅、 盛大な拍手と歓声で幕!

撮影=樋口隆宏

末っ子のステージに続いては、父ちゃんこと内田のステージだ。スライドギターによる繊細な調べでの「ムーンリバー」からソロ曲「美らフクギの林から」への流れに、うっとりしてしまった。フクギの林に月の光が降り注ぐ光景が見えてくるようだった。さらに、加川良のカバー曲である「教訓Ⅰ」、ソロ曲「グッバイ クロスロード」と、ブルースフィーリングあふれる歌とギターを披露。音楽とは時代を超えて響いてくるものであることを実感する演奏だ。

後半は一家の3人とバンドが勢揃いして、ゆずの「ヒーロー見参」と「始発電車」が演奏された。岩沢の力強い歌声に、寄り添うように寺岡が歌っている。岩沢のハープ、内田の超然ギター、Dr.Kyonのカズーなども加わっての自在な演奏が楽しい。「かんちゃん、いってみよう!」「こうちゃん!」など、息の合った掛け合いもからは一家の仲の良さも伝わってきた。憂歌団の「嫌んなった」では、寺岡と岩沢がブルースフィーリングあふれる歌を披露。本編ラストは1975年にリリースされた憂歌団のデビューシングル「おそうじオバチャン」。内田の歌声に岩沢がハモっている。寺岡が会場内を沸かせるセリフを発している。3人それぞれの個性的な魅力を堪能するとともに、それぞれの個性の融合のおもしろさも満喫した。

撮影=樋口隆宏

アンコールでは、寺岡の「酔いどれ天使」、ゆずの「月曜日の週末」、憂歌団の「スティーリン」が演奏された。「最終日行くぜ! ぞくぞくするぜ」と岩沢がシャウトする場面もあった。「スティーリン」の最後では、内田と岩沢がお互いを指で示して、エンディングの合図をするように促していた。最後は岩沢のギターでフィニッシュ。盛大な拍手と歓声が行った。

「今日で終わるのはさびしいので、リターンズのリターンズがあれば、また会いに来てください」という寺岡の言葉に、「ぜひ!」と岩沢。楽しそうに客席に手を振る内田。一家全員が楽しそうに歌い、演奏する姿が印象的だった。世代を越えたコラボレーションは、ブルース、フォーク、ロックなどのジャンルを越えたコラボレーションでもあった。音楽への情熱と音楽で結ばれた友情のかけがえのなさを感じた夜だった。一家の絆はきわめて固い。何年後になるかはわからないが、おそらく巡業の旅はまだまだ続くだろう。何度でもリターンしてほしい企画だ。

取材・文=長谷川 誠

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公演情報

"寺沢勘太郎一家" 巡業の旅 リターンズ
公演日時:2024年1月31日(水)
会場:KT Zepp Yokohama

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