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同番組は、全国各地を回ってトークの面白さと一流の芸を楽しんでもらうことを目的とした公開バラエティで、堺正章、さだまさし、武田鉄矢といった7人のホストが毎回交代で登場し、ゲストと共に歌とトークを繰り広げていくというもの。1990年4月23日の放送回では、ホストを務める木の実ナナの元に、西城がゲストとして登場する。
「もんじゃ屋のおかみに扮(ふん)した木の実の元を西城が訪れる」という設定の芝居仕立てで展開されていくのだが、西城は登場早々、開店したばかりの店構えを褒めると思いきや、隣の建物の格子戸を褒めたり、井戸水用手押ポンプを褒めたりと、ボケで笑いを誘い会場の空気を一気につかむ。
そして、木の実との丁々発止の掛け合いを繰り広げながら、「居酒屋」をデュエットしたり、もんじゃ焼きを試食したり、地元のソウルフードである広島風お好み焼きの作り方を木の実に指南したり、トークの流れでタップダンスを披露したりと、歌手としてだけではないさまざまな一面を見せて終始観客を楽しませ続けている。
■歌だけではなく、西城の多彩なトーク力にも注目
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その中で驚くべきは、芝居仕立てでありながらも常に観客の反応を意識して、彼らが飽きないように興味を引き続けながら決められた展開に導いていくセンスと、それに応えることのできる表現力の豊かさだ。ボケ役として木の実のツッコミを誘ったかと思えば、木の実をくさしてみたり、ちょっとしたミスをすかさず指摘して笑いにつなげたりと、その瞬間瞬間の客の反応をつぶさに拾って、多くのパターンを駆使してトークを展開しているのだ。
歌唱力や外見だけではスターにはなれない。これらをデフォルトとして、他にどうような才能があるかがスターとなるポイントで、西城はまぎれもなく感受性の強さと、それを基に期待以上のものを与えられる表現力を有していたことが、この放送で垣間見ることができる。
木の実との掛け合いを軸に展開されるノンストップの笑いの絶えない30分間を楽しみつつ、西城がスターであったポイントも存分に味わってほしい。
文=原田健











