BUCK-TICKがロックシーンの第一線であり続けている理由

数年前、たまたまテレビで観た世界に名の知れたトップアスリート同士の対談の中で、今でも心に残っている言葉がある。それは引き際についての会話だった。「継続するだけで尊敬される存在にはなって欲しくない」。継続することの難しさ、第一線であり続けることの難しさをわかった上でのこの言葉は、深く胸に響いた。

BUCK-TICKを紹介する時、"結成30年越え""不動のメンバー""唯一無二"というキーワードが並ぶことが多い。これらは寸分違わずBUCK-TICKを表現する言葉なのだが、特にまだBUCK-TICKのステージを観たことがない方々にぜひ知ってほしいのは、その先にあるものだ。BUCK-TICKがなぜ日本のロックシーンの第一線であり続けているのか、なぜ後続のバンドに尊敬される存在であるのか。連続19年間、年末には東京・日本武道館公演を開催する動員を保ちながら、今なお右肩上がりで動員を伸ばし続けているのはなぜなのか。そこには"継続している"だけではない凄さがあるからなのだ。

■徹底したビジュアルへのこだわりと最新鋭のコンサート

1987年にメジャーデビューしたBUCK-TICKは、当時でも異例のライブビデオでのデビューだった。それは彼らのビジュアルインパクトを世に知らしめると同時に、ライブバンドとしての印象を大きく植えつけた。以降、アルバム全曲のビデオクリップ集(1990年「惡の華」)をリリースしたり、ビデオシューティングのために横浜アリーナで単独公演(1992年「Climax Together」)を開催するなど、彼らが生み出した音楽の世界観を最大限に表現するための手段として"ビジュアル"にこだわってきた。

そんなBUCK-TICKのコンサートは各時代において、常に最新鋭だった。今や当たり前のように目にするあの銀テープも、基盤となった特殊効果を最初に使用したのはBUCK-TICKだったと言われている。「新しいものはまずBUCK-TICKで試すらしい」と、以前インタビューでメンバーが笑いながら語っていたのを覚えている。天井から無数のバラが落ちてきたり、大きなバルーンの中からメンバーが登場したり、ライブハウスの中、ヴォーカルの櫻井敦司の頭上にだけ雨が降るという装置に驚いたこともあった。ステージセット、照明、映像。最新鋭のステージ演出の中で、最上級のパフォーマンスを見せるメンバー。彼らのステージは、メンバーと最強のスタッフ陣が、総力を挙げて一つ一つ丁寧に仕立てるのだ。それを証言する言葉の一つとして、BUCK-TICKのステージについて語る時、櫻井は"ライブ"ではなく"コンサート"という言葉を使う。以前その理由を尋ねた時に「みんなでそれに向かって準備をし、創り上げているものだから」と答えてくれた。丹精に創り上げたステージで、非日常を楽しんでもらいたい。彼らの想いが、その言葉にすべて集約されているのだ。

■バンド史上初の国立代々木競技場第一体育館

12月3日(火)群馬・高崎芸術劇場 大劇場より、2019年最後のツアー「THE DAY IN QUESTION 2019」がスタートする。このファイナル公演、12月29日(日)に行なわれる東京・国立代々木競技場第一体育館のステージの模様がWOWOWで生中継される。BUCK-TICKが12月29日にコンサートを行なうのは今年で連続20回目。過去19回日本武道館で行なってきたが、今年は改修工事により同会場が使用できず、バンド史上初の国立代々木競技場第一体育館での開催となる。この「THE DAY IN QUESTION」は2001年に一夜限りの公演として開催されたもので、その後年末を飾る恒例のステージとして定着した。新旧織り交ぜた予測のつかない自由なセットリストで進行し、毎回ファンを歓喜させているこの公演。スペシャルなこのステージをぜひ体感してほしい。

文=大窪由香

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放送情報

生中継!BUCK-TICK THE DAY IN QUESTION 2019
放送日時:2019年12月29日(日)18:00~
チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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