映画字幕翻訳者・戸田奈津子が「トップガン」シリーズ主演・トム・クルーズの魅力を語る「彼は過去を振り返らないで、今の作品に200%の力を注ぐ人」

日本でも興収135億円突破の大ヒットを記録した「トップガン マーヴェリック」。字幕翻訳だけでなく来日時の通訳としてトム・クルーズをそばで見続けてきた戸田奈津子さんが、作品と彼の魅力を教えてくれた。

1986年に公開された1作目「トップガン」
1986年に公開された1作目「トップガン」

「トップガン[4Kリマスター版]」© 2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

トム・クルーズと30年以上の交流がある戸田さん。その人柄は、我々が画面を通じて見る彼と大差はないという。

「映画が大好きだということが全身からあふれ出ていますよね。トムのような地位で映画製作の全行程を把握して、自分の子どものように作品の面倒を見尽くす人は他にいません。無名の頃から勉強家だったみたいで、現場でもあらゆるスタッフと会話して映画作りを学んでいたそうです。椅子の上でただ出番が来るのを待つなんてことはしたことがない、と言っていました」
 
1作目の「トップガン」の時点ですでに名を成していたが、こと日本において彼の認知を広げた作品であるのは間違いない。

「1986年の作品ですが、つい最近見たような気がします。だって、トムが今も昔もほとんど変わらないから(笑)。『トップガン マーヴェリック』の関連で航空自衛隊の人たちと話をさせてもらったんですけど、『トップガン」を見てパイロットを志した人の多さに驚きましたね。米海軍に志願する人が急増したという逸話もありますが、本当に影響の大きな作品だったと思います」

36年の時を経て公開された「トップガン マーヴェリック」は世界中で大ヒット。しかし、その裏でトム・クルーズは闘っていた。

「『トップガン マーヴェリック』が完成していざ映画が公開を迎えようとしていた時にコロナで劇場が閉鎖されました。公開のめどが立たない時期に、出資者たちから『配信でなんとか資金を回収できないか?』と、ものすごく圧力がかかったみたいです。でもトムは絶対にこの映画は劇場でかけなきゃ駄目だ、とプロデューサーの立場から圧力に屈さず、信念を貫きました。結果的に、枯れかかっていた映画館にお客さんを呼び戻して、映画の素晴らしさを再認識させた...これはコロナで大打撃を受けた業界にとって偉業だったと思います」

現在60歳のトム・クルーズ。「トップガン マーヴェリック」の後も意欲的に映画を作り続けている。

「『トップガン マーヴェリック』の大ヒットは喜んでいると思うけど、彼は過去を振り返らないで、今の作品に200%の力を注ぐ人。『とにかく僕はお客さんをエンターテインさせたい(楽しませたい)んだ』とは、彼から何度も聞いた言葉です。60歳とはいえまだ限界に達してないということは、今後も全力投球でわれわれを楽しませてくれますよ」

とだ・なつこ●東京都出身。1980年公開の映画『地獄の黙示録』をはじめ、映画字幕翻訳の第一線で活躍中。トム・クルーズら海外スターからの信頼も厚く、来日時の通訳も務めていた。「トップガン」シリーズの字幕翻訳も担当。

取材・文=山崎ヒロト

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放送情報

トップガン マーヴェリック
放送日時:3月9日(木)20:30~
チャンネル:スターチャンネル1

トップガン[4Kリマスター版]
放送日時:3月11日(土)19:00~
チャンネル:スターチャンネル1

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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