今回の最大のミッションは、テロリストの手に落ちた核兵器を奪還すること。もし失敗すれば、第三次世界大戦に発展しかねない事態だ。冒頭、リビアの化学工場をテロリストが襲撃するシーンの後に、バーニーとクリスマスのシーンに切り替わる。

バーニーが訪ねていった時、クリスマスは恋人と喧嘩中で、すごい剣幕の恋人に対して困った様子を見せたり、また、バーニーの野暮用に付き合わされて呆れたような雰囲気を漂わせたりする。表情の控えめなクリスマスを、ステイサムが自然体で演じている印象だ。

しかし、バーニーに連れられていった酒場でチンピラとやり合う時には、雰囲気が一変。死地をかいくぐってきた傭兵だけあって、動じないどころか相手を挑発し、立ち回りとしては一瞬だが、射抜くような凄まじい眼光も見せる。クリスマスという男の強さが垣間見えるシーンであり、その後の暴れっぷりに期待してしまう瞬間と言える。

そして最初のミッションが始まる。化学工場を襲ったテロリストから核兵器の起爆装置を死守するという内容で、クリスマスは工場に降り立ち、テロリストと戦うことになる。

激しい戦いの中にあって、クリスマスは冷静に、的確に敵を倒していく。車両に設置した機関銃で敵とやり合うシーンの集中力がみなぎる眼、熱に満ちた表情、機敏な動作はまさに歴戦の傭兵で、彼がいる限りどんな修羅場でも安心して見ていられそうな気になる。それも、アクションスターとしてのステイサムの持ち味だろう。

しかしクリスマスもチームも、このミッションで大きな代償を払うことになる。作戦は失敗、起爆装置は奪われ、皆にとって大切な存在も失われてしまうのだった...。

■ステイサムの魅力とストーリー展開にラストまで惹き込まれること必至！

その後、ミッションの失敗は彼の行動が原因とされ、クリスマスはチームから外されてしまうのだが、その後の物語にはクリスマスの人間味が感じられる瞬間、そして強さが感じられるシーンが数多く散りばめられている。

多くのものを失ったクリスマスがバーで佇む姿や、スマホから"ある男"の番号を消す時の表情からは悲哀がじわじわと伝わってくるし、最後の戦いで仲間と再会した時の人懐っこい笑顔は心底嬉しそうだ。また、ラストに向けた戦いでは、正確無比に敵を撃つ姿や、クリスマスが得意とするナイフさばきも披露してくれる。

ある時は歴戦の傭兵であり、ある時は「エクスペンダブルズ」のメンバーとしての哀愁や喜びを体現する。そんな魅力溢れるステイサムの演技とテンポの良いストーリー展開に惹き込まれながら、このアクション大作を存分に楽しんでほしい。

文＝堀慎二郎