初めて心の鎧を脱いだ名ラブシーン！キス職人、ソ・イングクの無防備な表情に見惚れる瞬間

近年の韓流ブームにおいて、よく取り上げられる"キス職人"というキーワード。ランキング上位には、パク・ソジュンやコン・ユ、チ・チャンウクの名前が並んでおり、ロマンス作品に出演する人気俳優のバロメーター的な役割になっているという印象だ。

その中でも常に上位をキープする俳優といえば、ソ・イングク。"殿堂入り"とされている彼の名キスシーンは数あるが、シリアスな展開の中で見せた"大人のキス"として、ファンの記憶に刻まれているのが「空から降る一億の星」(2018年)で見せた美しいラブシーンだ。

北川悦吏子が脚本を手掛けた「空から降る一億の星」は、2002年に日本で反響を呼んだドラマで、本作はその韓国リメイク版。ソ・イングク＆チョン・ソミンによって再ドラマ化され、2018年の放送時大きな話題を集めた韓国版「空から降る一億の星」が、ホームドラマチャンネルにて4月12日(火)深夜から放送される。

本当の愛を知らずに育ち、その冷酷さから"怪物"と呼ばれる男・ムヨン(イングク)、彼が唯一心を開く純粋無垢なヒロイン、ジンガン(ソミン)、そしてジンガンの兄でとある殺人事件の真犯人を追う刑事ジングク(パク・ソンウン)――サスペンスタッチで紡がれる物語の軸は、この3人の運命を中心に展開していく。放送当時、危険な香りを漂わせる男・ムヨンをイングクが演じると、韓国ドラマファンからは驚きを持って迎えられた。

というのも、それまでのイングクは甘え上手な愛されキャラのイメージが強かったから。初主演作「応答せよ1997」(2012年)ではガールフレンドにだけチャーミングな素顔を見せる優等生ユンジェ役、「ナイショの恋していいですか!?」(2014年)では兄の代わりに会社員になりすまし、年上の同僚と恋に落ちる高校生ミンソク役、「ショッピング王ルイ」(2016年)では世間知らずで笑顔の可愛い御曹司ルイ役...と、愛嬌たっぷりな役柄ばかり。

ストーリーもロマンティックな要素が強く、特に「ナイショの恋していいですか!?」は甘いキスシーンが満載。年上のスヨン(イ・ハナ)とちょっぴり背伸びしたキスを連発し、キス後に「もう一回だけ...」と甘い声でおねだりする姿が、世のヌナ(お姉さん)たちのハートをくすぐりまくり、「ショッピング王ルイ」では、逆に恋愛慣れしていないルイの不器用でちょっぴり強引なファーストキスが"イングク史上最も美しいキス"と称された。

こうしたキャリアもあって、早い時期から"キス職人"の称号を得ていたイングク。そんな彼が「空から降る一億の星」で見せた周囲をあざ笑うような危険な表情は、"甘くて可愛いイングク"の印象をガラリと塗り替えた。抗いがたい魅力を持つミステリアスなムヨンの沼に落ちるファンが続出し、ストーリーが進むにつれ孤独な内面をさらけ出していく過程に夢中になった。

それだけに、ムヨンがジンガンの前で初めて心の鎧を脱いだラブシーンはファンの心をわし掴みに。毛を逆なでする猫のように、誰にも心を開かなかったムヨンが、ジンガンの心からの優しさに惹かれ、徐々に距離を縮めていった末に訪れた、至福の時――ベッドの上でジンガンと2人、秘密を共有するようなクスクス笑いを交わし、ゆっくり服を脱がせ合って腕をからませる。互いに触れていることの喜びを確かめるように、何度も何度もキスを交わす...。

第10話で描かれた2人のラブシーンは驚くほどに無防備で、9話をかけてムヨンの孤独をじっくりと描いてきたからこその幸福感に満ちている。そして、唇を重ねる瞬間のイングクの顎のラインの美しさ、唇を離す瞬間の甘くとろけるような余韻も実に印象的で、"キス職人"イングクならではの色気に見惚れてしまう瞬間だ。

イングクが笑顔を封印し、冷たく孤独なムヨン像を積み重ねた末に訪れる至福のキス。ロマコメとはまた異なる趣きがある、大人のラブシーンを改めてじっくりと味わいたい。

文＝酒寄美智子

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