第1次韓流ブームを代表するスター俳優として、20年以上に渡って第一線で活躍し続けているクォン・サンウ。映画デビュー作『火山高』(2001年)など、元祖"モムチャン(鍛え上げられた体)"俳優として脚光を浴びた後、その名を知らしめた大ヒットドラマ「天国の階段」(2003年)でトップスターへ。男らしく硬派な表情を見せる一方で、"涙の貴公子"と称された繊細かつ美しいロマンスには、日本を含むアジア中が熱狂した。
近年では、映画『探偵なふたり』(2015年ほか)や「推理の女王」(2017年ほか)など、新たな代表作と言えるヒットシリーズを次々と生み出しており、親しみのあるコメディ演技で独自のポジションを確立。最新作『海賊:鬼の旗(原題)』(2022年)では、手段を問わない逆賊という悪役にも初挑戦するなど、年齢を重ねた今も、"涙の貴公子"時代とはまた違った新たな魅力を見せている。
40代に入り円熟味が増したサンウ。近年のヒット作の中でも、そのコミカルな魅力とロマンス演技が両方楽しめる映画が、5月5日(木)にKNTVにて放送される『ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ』(2019年)だ。
離婚した夫婦とその親友の三角関係を描いたラブコメディで、シングルライフを謳歌する元夫・ヒョヌをサンウが、図々しくも憎めない元妻・ソニョンをイ・ジョンヒョンが演じている。そして、ミュージカルからバラエティまでこなす多才な俳優イ・ジョンヒョクが恋のライバル・サンチョル役に扮しており、『マルチュク青春通り』(2004年)以来、サンウと15年ぶりの共演を果たしたことでも公開時は大きな話題を集めた。
物語の始まりは、ヒョヌとソニョンの"離婚式"。恥をしのんで敢行した離婚式を経て、夢にまで見たシングルライフを満喫していたヒョヌ。だが半年後、元妻・ソニョンから事故を起こしたとSOSが入る。「お互い相手が見つかるまで助け合う」という一方的な言い分に押し切られる形で、ヒョヌはソニョンの身のまわりの世話をすることになる。
縁が切れたと思っていた元妻との奇妙な生活が始まった矢先、旧友のサンチョルに偶然再会。恋愛音痴の彼に「好きな女性ができた」と打ち明けられたヒョヌは、その女性がソニョンと知りギョッとする...という、あらすじだけでも3人のドタバタぶりが目に浮かぶ大人のラブコメ作品だ。
序盤に登場する、嫌々ながらもソニョンの言い分に従って催された"離婚式"は、まるで結婚披露宴のようなゴージャスさ。そんな一大事を耐え忍んでやっと自由を手にしたのもつかの間、なぜか再びソニョンの尻に敷かれてしまい、気がつけばせっせと掃除に精を出している...。人生の岐路に立った迷えるヒョヌの姿は中年男性の哀愁に満ちているが、その実、妙に可愛らしくチャーミング。年齢を重ねたサンウの味が何とも言えず魅力的で、サンチョルの前で他人のフリをする元夫婦ならではの掛け合いにもクスッとさせられる。
とはいえ、ヒョヌにとってソニョンは、曲がりなりにも一度は生涯の伴侶に選んだ相手。サンウのふとした表情には、ソニョンへの情がにじみ出て、"結婚"や"離婚"という形では割り切れない"幸せ"の奥深さを考えさせられる。そして、"離婚式"から始まるシビアな人間模様が、物語にビターな大人の風味をプラスする。
さらにサンウは、近年も『鬼手』(2019年)や『ヒットマン エージェント:ジュン』(2020年)など、ハードなアクション作品に立て続けに出演する元祖"モムチャン"俳優だけあって、その肉体美は健在。本作でも、パンツ一丁でシングルライフを謳歌する姿やサウナで寛ぐシーンで、とても40代とは思えない引き締まった体躯を披露しているので、こちらも注目だ。
年齢を重ね、様々な人生の経験を積み重ねたからこそ、人間味溢れる多彩な表情を見せてくれるサンウ。ベテランと呼ばれるようになった今なお、新たな魅力を開拓し続ける彼からまだまだ目が離せない。
文=酒寄美智子
放送情報
ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ
放送日時:2022年5月5日(木)20:00~
チャンネル:スカチャン1(KNTV801)、KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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