『ミナリ』のオスカー女優ユン・ヨジョン、世界を驚かせた「最高にクール」な人柄

『パラサイト 半地下の家族』(2019年)の"オスカー4冠"という快挙に沸いた翌年の第93回アカデミー賞、韓国人俳優として初めてアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン。受賞当時73歳だった彼女は、流暢な英語で、ウィットに富んだジョークを交えながらも感動的なスピーチを披露し、最高にクールで洗練された人柄を世界中に知らしめた。

彼女にオスカーをもたらした『ミナリ』(2020年)は、1980年代のアメリカ・アーカンソー州の高原を舞台に、農業での成功を夢見る韓国出身の移民家族の姿を描いたヒューマンドラマ。一家の祖母・スンジャに扮したヨジョンは、花札で遊べば孫たち以上にはしゃいで見せる破天荒なおばあちゃん像を生き生きと演じ、作品に笑いと感動をもたらした。

そして今年3月に開催された第94回アカデミー賞では、前年の受賞者がプレゼンターを務めるという恒例にのっとり、助演男優賞のプレゼンターを務めたヨジョン。

手話を交えて、『コーダ あいのうた』で受賞したろう者の俳優トロイ・コッツァーの名を発表すると、一度コッツァーに手渡したオスカー像を、彼が手話でスピーチしやすいように再び受け取りサポートするという細やかな気配りも。そうしたヨジョンの人柄の良さもフォーカスされ、再びオスカーの舞台で大きな話題を呼んだ。

そんな韓国を代表する大女優ユン・ヨジョンの素顔を引き出し、第94回アカデミー賞授賞式のために訪れたロサンゼルスでの滞在の日々に密着したドキュメンタリーが、「ヨジョンの思いがけない旅程(ヨジョン)」だ。

「ユン食堂」「ユンステイ」などで共演しヨジョンと親交がある俳優イ・ソジンがチーフマネージャー、人気バラエティを手掛けてきたナ・ヨンソクPDがアシスタントマネージャーとしてそれぞれ同行し、アメリカで仕事をこなすヨジョンの姿をカメラに収めていくこの番組。ヨジョンと縁のあるアメリカの友人や仕事の関係者などの存在が明らかになり、気の知れた仲間との時間を過ごす過程では、一度会った人たちとの縁を大事にする彼女の素顔が垣間見える。

また仕事に臨むヨジョンの姿もカメラは捉えており、米国で愛されている「ケリー・クラークソンショー」出演や授賞式のリハーサル、外国メディアとの英語でのインタビューに備えて準備する姿など、仕事熱心な彼女の一面も映し出していく。

オスカープレゼンターという大役を終えた直後もカメラは密着し、宿泊先でラーメンを食べる場面など、庶民的で親しみやすい素顔もキャッチ。一方で、イギリスの女優オリヴィア・コールマンとの交流や、助演男優賞を獲得したトロイ・コッツァーと舞台裏で交わした感動的なやり取りなど、アカデミー賞という大舞台で体験した秘話も明かされる。

ヨジョンの飾らない言動に加えて、番組に笑いをもたらしていたのは、チーフマネージャーとして同行した俳優イ・ソジン。仕事そっちのけでLAのグルメ巡りをし、JAY-Zやビヨンセ、ジョシュ・ブローリン、ケビン・コスナーなど、授賞式で遭遇したセレブについて興奮気味に語るなど、等身大な魅力で番組を盛り上げていく。

大舞台でもありのまま振る舞う嘘偽りのない姿で、世界中の映画ファンの心を掴んだユン・ヨジョン。クールかつチャーミングな彼女の素顔を知れば、『ミナリ』での姿もまた違って見えてくるかもしれない。

文＝HOMINIS編集部

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