――ちなみに、今回アフレコは一緒に撮れたんでしょうか?
速水「できました。すごく久しぶりじゃなかった?」
津田「久しぶりでしたね。コロナ禍が終わってすぐでした。速水さんとご一緒できて本当に嬉しかったです
――アフレコ現場はどのような雰囲気でしたか?
津田「粛々としてましたよね(笑)」
速水「そうですね。第1話の前半にみんなが出てきて、後半はフベルトとラファウの話だったので、そういった意味ではふわっと出てきて、ヒュっと収束していく感じがあって。ずっと静かに進んだ感じですね」
――本作では考え方の異なる役を演じられていますが、改めて共演されてお互いの役に向かう姿勢についてはどのような感覚を持っていますか?
速水「やっぱり没入感ですね。空気を変えるというか。タイプとしてバランスと没入と両方いるんですけれど、津田くんは没入する方だなっていうのはすごく感じましたね」
津田「速水さんが持ってらっしゃる深い音といいますか、誰が聞いても速水さんだと分かる個性が素晴らしいなと感じました。今回はフベルトという男の突き抜けている強さみたいなものが速水さんの声に表れていましたよね。別に声を張るわけでもなく、ただ粛々と言葉をラファウに投げかけていくだけなんですけど、その強さみたいなものが冒頭にふさわしいなと思いました」
――本作ではラファウを筆頭に絶対に曲げられない信念が描かれていますが、お2人が大切にされている信念や信条はありますか?
速水「津田くんも出てる『フォールガイ』という映画を最近観てきたんですけど、観ていて思ったことがあって。僕の若い頃って他者を拒絶することを割としてきた記憶があるんです。というのは、人の演技をよく思うって相手に負けた気がしていて。でも、ある時から誰かの演技に感動すること悪いことじゃないんだと捉えられるようになってからすごく楽になったんです。だから、津田くんの演技も素直に受け止められるようになって、今ではファンみたいに見ています(笑)」
津田「あははは。僕が出会った頃は穏やかで優しい奨さんで良かったです(笑)」
速水「怖いわけないわ! 尖ってた時期は若い頃だったので。でも年齢を重ねるごとに感覚が鈍るんですよね。ふわっと人生が終わっていくのかと思うと抗いたくなるんですよ。であればもっと感じて、もっと感動した方が楽しいんじゃないかなって今は思えるようになりました」
津田「僕の若い頃は勢いで生きていた部分がありました。視野も狭いですし、受け取る量も微々たるものですし、勢いと元気で突っ走ってたところがあるんですけど、最近は丁寧に1個1個の仕事に向き合わなければいけないなとか、人と丁寧に対峙しなきゃいけないなと思うようになりました。それは別にポジティブなものだけではなく、ネガティブなものも世の中には溢れているので、そこも避けることなく、しっかりと清濁併せ呑む。でも停止することなく、という感じですね」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
放送情報
「チ。 ―地球の運動について―」
放送日時:2024年10月より毎週(土) 23:45~
チャンネル:NHK総合テレビ
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