世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2021」がオンライン開催され、人気タイトルのステージも3月27日、28日に行われた。妖怪の姿が見える少年と妖(あやかし)の交流を描いた「夏目友人帳」からは、夏目貴志役の神谷浩史、ニャンコ先生・斑役の井上和彦が出演。1月に劇場で限定上映された新作アニメ「石起こしと怪しき来訪者」の振り返りトークが行われた。
「怪しき来訪者」のあらすじを井上がニャンコ先生の声で読み上げると、神谷から「そういうのあるといいですよね」と言われ、井上は「芸じゃないわ!」と笑いながら反論した。劇場版ではなく新作の短編エピソードが2本立てという内容に、井上は「まったく違うテイストのお話だったので、1本目が終わった後にすごく考えさせられるエピソードが流れて、2回楽しめました」と感想を語った。一方、神谷は「人間に置き換えると重たいお話でも、妖怪に置き換えることによって素直に物語として受け止められることが、夏目友人帳の特徴だと思います」と持論を展開。「石起こし」で登場した妖怪・ミツミについて「ヒエラルキーが変動しない妖怪の世界の中で、低い位置にいるミツミがヒエラルキーを超えて認められようとする姿は、妖怪だから素直に受け止められるかもしれないけど、人間だったらつらくて見てられないかもしれない」と見解を示した。
「怪しき来訪者」については、第一期から登場している田沼要のエピソードであることに、「第一期から出ている人物に、もう一度スポットが当たるのは珍しいですよね」と神谷。井上も「黒田崇矢さんも、こんなに話す回は来ないと油断していたでしょうからね」と話し、田沼と深く関わっていく三篠(みすず)役の黒田の心中を語った。アフレコ現場でのエピソードでは、「怪しき来訪者」ではあるキャラクターが"来訪者"として登場するため、来訪者の声を別のキャストが担当すると思っていたと話す井上に、神谷は「ニャンコ先生が夏目に化けた時も、和彦さんがやりましたよね」と監督のやらせたがりな一面に触れた。そして、「レイコは演じさせてくれないんですよ」とぼやく井上に、「それは小林沙苗さんにやってもらいたい」と笑いながら答えた。
「石起こし」では珍しく夏目とニャンコ先生が離れ離れだったことに、神谷は「アフレコはバラバラだったので、賑やかさを感じることはできなかったですけど、邪魔されずにできたので良かったです」と笑顔。さらに、井上がいる現場では本番前のテスト中、「僕が反応するまで、ずっとオフマイクで話してきますから」と暴露すると、井上が「テストの時にいつも怒られる」と罰が悪そうな表情を浮かべた。無観客で行った舞台あいさつに話が及ぶと、井上は「僕たちだけでしたけど、隣のスクリーンでは夏目が上映されていたんですよね」と明かし、「観客がたくさんいる隣のスクリーンで僕らが中継している。不思議な感覚でした」と裏話を披露した。
その後、お知らせと題して神谷は「先日、3月26日に我らの井上和彦さんが、お誕生日を迎えられました。おめでとうございます!」と祝福。ニャンコ先生のイラストを挟んだ花束のケーキが贈られると、井上は「またやられた~」とサプライズに、この日一番の笑顔を見せた。AnimeJapan恒例の企画を行えたことに、神谷が「今年もこうやって和彦さんの誕生日をお祝いできることを嬉しく思います」と語ると、井上は「いつも引っ掛かっちゃうんだよね」と毎回驚かされていることに触れつつ、「夏目とともに年を重ねていきたいと思います」と告げた。
最後に、井上は「本当にビックリしました。こういうサプライズがあるのが夏目友人帳。始まってもう12年を越えましたが、皆さんの応援がいつもあるから、僕たちは出させていただいているんだなというのをつくづく感じます」とファンに感謝を伝えた。その言葉に神谷も「(AnimeJapanが前身の)東京国際アニメフェアだった時に、アニメ化することを発表させていただいてから12年以上が経ちましたが、こうしてこの会場に戻って来られたことを嬉しく思います」とコメント。そして、原作者・緑川ゆきへの謝意を述べるとともに「先生が描き続ける限り、なるべく映像化、音声化していけるように気持ちを新たにさせていただきました」と胸の内を明かし、イベントを締めくくった。
文・撮影=永田正雄
放送情報
夏目友人帳 陸
放送日時:2021年5月25日(火)18:00~ほか
チャンネル:アニマックス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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