藤原竜也が「デスノート」や「カイジ」以前に七色の「哀」の演技で表現した役の心情の変化と成長に刮目せよ

(C)2000「バトル・ロワイアル」製作委員会

年に一度全国の中学3年生の中から選ばれた1クラスに、コンピュータ管理された脱出不可能な無人島で、制限時間3日の間に、最後の1人になるまで殺し合いを強いるという新世紀教育改革法、通称「BR法」が施行された世界を舞台に、「BR法」に選ばれた城岩学園中学3年B組の殺し合いのてん末を描く。

ただ殺戮シーンが続いていくというようなことはなく、パニックからサスペンス、そして人間ドラマというざっくりとした流れの中、要所要所で秋也演じる藤原の"哀"の演技が作品にスパイスを利かせている。

例えば、ビートたけし演じる教師のキタノが「ちょっと殺し合いをしてもらいます」と宣言するも生徒たちが全く信じないため、見せしめで2人生徒を殺害するのだが、その中の1人が秋也と同じ孤児院で育った親友・国信慶時(小谷幸弘)で、目の前で何もしてやれなかったことに対する悔恨と悲嘆にくれるシーンや、負傷した自分を匿ってくれた女生徒たちが知らぬうちに仲間割れをして全員死んでしまったところに遭遇した時のやり切れないシーン、出会えれば状況を打破できるかもしれない三村信史(塚本高史)が目前で爆死してしまった時の哀傷を味わうシーンなど、主人公であるためさまざまなクラスメートの死に遭遇していくのだが、藤原は一つとして同じ演技は見せず、それぞれで印象的な"哀"を表現している。これらの演技で表現する"哀しみ"の変化こそ、秋也の心情の変化であり、彼の成長をも描いているといえる。

蜷川幸雄の秘蔵っ子として1997年に舞台「身毒丸」でデビュー後、映画2作目となる同作で七色の"哀"の演技を披露している藤原竜也。彼の七色の"哀"の演技で表現される役の心情の変化と成長に注目すると、深みのある"人間ドラマ"が楽しめるはずだ。

文=原田健

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放送日時:5月4日(土)20:30~
放送チャンネル:東映チャンネル
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