先日、日曜ドラマ「厨房のありす」が最終回を迎えた。主演を務めたのは門脇麦。マイペースで人とのコミュニケーションが苦手な自閉スペクトラム症の料理人・ありすを、一人の女性としてごく自然に演じ、複雑なキャラクターも長台詞も難なくこなした。
かねてより実力派として知られる門脇だが、昨年はシャオ・ヤーチュエン監督作「オールド・フォックス 11歳の選択」で台湾映画に初出演を果たし、日本での公開を6月14日(金)に控える同作でも存在感を見せた。また、5月から上演する宮崎駿監督アニメ「未来少年コナン」の舞台版にも主要人物のモンスリー役でキャスティングされている。
そんな国内外で幅広い活躍を見せる門脇が、確かな実力を世に知らしめた作品の一つが、「連続ドラマW 翳りゆく夏」(2015年)だ。WOWOWプラスで4月28日(日)に放送される本作は、「SP」シリーズを手掛けた波多野貴文監督が江戸川乱歩賞受賞作をドラマ化したノンストップサスペンス。
ある大病院で新生児誘拐事件が発生。犯人は病院の院長に身代金を要求して大金を手にするも、警察の追跡中に事故死。誘拐された新生児が見つかることはなかった。20年後、犯人の娘である朝倉比呂子が大手新聞社に内定するが、週刊誌にスクープ記事を掲載されてしまう。人事部長の武藤誠一は、彼女を守り入社させるために躍起に。一方、元敏腕記者の梶秀和は社長から事件の再調査を言い渡される。調査を重ねると思わぬ疑惑が浮かび上がり、封印されていた衝撃的な真実が掘り起こされていく...。
門脇は、物語の鍵となる誘拐犯の娘・比呂子を演じる。舞台となる大手新聞社・東西新聞に優秀さを評価され内定したところで、父親が新生児誘拐事件を起こして逃亡中に事故死した犯人であるとスクープされ、内定辞退を申し出るが、彼女を守ろうとする人事部長らに説得される。波乱に満ちた人生を送ってきたはずの比呂子は、素直で聡明な女子大生。年齢に不釣り合いなほどの落ち着いた雰囲気を纏い、時折ユニークな発想や不思議な行動をする。
役柄と門脇自身の美しさやミステリアスさが相まって、不思議な魅力を放つ。比呂子は周囲の温かい励ましに心を動かされながら、夢見た職業に就くか諦めるか葛藤する。複雑な生い立ちをも抱えこんだ胸の内が、セリフのない表情だけで伝わるが、過去にとらわれず未来を見つめる凛とした眼差しに引き込まれた。
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW 翳りゆく夏
放送日時:2024年4月28日(日)7:15~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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