若き日の工藤静香が極道の世界で見せた、女優としての色気と美しさ

1980年代後半に大活躍し、中山美穂、南野陽子、浅香唯らとともに女性アイドル四天王の1人に数えられた工藤静香。歌手としてはもちろん、女優としてドラマに出演したり、また画家として二科展で入賞を果たすなど、豊かな才能を持った彼女は他のアイドルとは一線を画す存在だった。

そんな工藤が極道の世界に挑戦した映画がある。1996年に公開された映画『極道の妻たち 危険な賭け』だ。

日本極道界の頂点を極めた坂松組組長三代目が死んで3年後。その跡目候補に、若頭の海原泰明と舎弟頭の佐渡拓磨の2人が名乗りを上げる。借金などがあって分が悪い佐渡は、昔のよしみで"北陸の女帝"と呼ばれる洲崎組組長の洲崎香矢に協力を求める。香矢は潤沢な資金を用いて佐渡に投資することで、自らの野望を叶える賭けに出る。

この作品で工藤は、岩下志麻演じる洲崎香矢の1人娘、洲崎香織役を務める。退屈な大学を辞めて香矢のもとに戻った香織は、洲崎組と跡目争いで対立する神鳥組系の若者、原田龍二演じる村木新と出会い、惹かれ合う。

強面の極道が多数登場することもあって、この映画では工藤の美しさがより際立って映る。例えば赤いポルシェから降りる初登場のシーンは、はっとするほど綺麗だ。

言い寄る新を冷たくあしらったり、催涙スプレーを吹きかけたりと、強気な場面もそつなくこなし、自分をこけにした新を香矢に「殺して!」と頼むシーンでは、苦悶とやるせなさが入り混じった絶妙の表情を見せてくれる。

(C)東映

母・香矢との場面も多く、ラスト前で香矢が香織を諭すシーンは圧巻だ。実はこの映画の主題歌「優」は工藤が歌っていて、歌詞も工藤自身が愛絵理名義で作詞したもの。母への想いがこもった歌詞は、映画の中での母・香矢への想いへとつながっていく。

強面の男性陣が工藤を引き立て、また工藤が岩下を引き立てることで、本作の魅力がより深まっていると言えるだろう。『極道の妻たち 危険な賭け』は、東映チャンネルの「2か月連続特集【一挙放送!極妻スペシャル Vol.2】」の中で6月4日に放送される。工藤の出演により、同シリーズの他の作品とはひと味違う作品に仕上がっていることは間違いない。

文=堀慎二郎

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放送情報

極道の妻たち 危険な賭け
放送日時:2020年6月4日(木)20:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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