タカとユージは似た者同士というキャラクターで、同じ画面に似た者が2人というのは演じる上ではかなりハードルが高いのだが、2人は「丁々発止のやり取り」や「意思疎通ができているため多くを語らず即行動」といった見せ方で同じ画面の中での存在意義を作り出している。
「丁々発止のやり取り」は、段違いの早いテンポで展開され、作品の軽やかさの中軸を担っている。さらに、軽やか故に台詞に無駄な重みを持たせず、「この2人なら何とかしてくれそう」という雰囲気までも作り上げている。これらを成立させながら、似た者同士であるタカとユージの個性をそれぞれが作り上げており、要するに「似せながら、違いを出している」のだから、もう演技うんぬんを超越した"神の領域"だ。
そして、「多くを語らず即行動」に関しては、2人に動きに無駄がない。他の作品にはなく同じ動作をする珍しいシーンではアイコンタクトもなしにタイミングを合わせて動作をシンクロさせ、違う動作をするシーンではまるで分身かのように連動した動きを見せている。
これらは舘と柴田が共に"神域"の実力の持ち主で、無意識でも互いに芝居の出力を合わせようとしているからだろう。互いに相手の出力を感じながら徐々に上げていくから、"比類なきミックスアップ"が実現しているのだ。他の役者ではこうはいかないし、相手が違っても難しい。舘と柴田だからこそ「タカとユージ」を作れているのだ。だからこそ、30年間も続くほどの魅力がある。
2人のダンディで渋くカッコいい面や上司に怒られているちょっと抜けた三枚目の瞬間などと共に、2人による2人だからこそ成立し得た"比類なきミックスアップ"を堪能してほしい。
文=原田健
放送情報
もっとあぶない刑事 #1
放送日時:2023年2月7日(火)04:00~ 無料放送
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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