三浦翔平が父親になった今だからこそ感じる"自分自身の起源"

――龍之介を演じていかがでしたか?

「"面白い"より"つらい"方が強かったかもしれないです。龍之介はある意味ずっと仮面を被って生きている人間で、しかもそのことに自分では気付いていないので。やはり思ったことを口に出している人間の方がストレスはないですから」

――演じる上で難しかったところは?

「技術的なところで言えば、『(フラメンコの曲の)サパテアードの音に合わせて芝居をしてほしい』って言われて、『上がっていくリズムに合わせて心情も上がっていくのを、動きと表情だけでやってくれ』と。リズムで芝居をするというのが新しくて難しかったですね。
心情的なことだと、ラストの母親に対する心情の切り替えが難しかったです。気付きがあって(台本の行間を読めば)一度自分の中で考える時間があるのですが、(シーンの構成上)次のシーンでは(考えを固めて)歩き出しているので、『この短いスパンでどうやったらお客さんに伝わるのかな』というところはすごく考えました」

――比嘉さんとの思い出は?

「エンディングに繋がる2人が対峙するシーンは、監督のこだわりで天気が回復するのを待って、かなり時間をかけて撮ったのですが、待っている間に次に撮るダンスシーンの練習をひらすら2人でやってました(笑)。でも、本番になるとすごく集中されていて、比嘉さんが演じるストレートに思ったことを口にする遥海の言葉は、対照的な性格の龍之介にはグサグサ刺さるんですよ!ほとんど受け身の芝居だったのですが、すごく感情を動かしてもらいました」

――龍之介を通して"家族愛"が1つのテーマとして描かれていますが、ご自身が父親になったことで"家族愛"を表現する上での心境の変化などはありますか?

「父親役は演じたことがあるのですが親子が主体となる物語はやっていないので、例えば、離れ離れになってしまうような作品だったり、強く愛おしさを感じるような物語に携わった時に、『一体どんな感情が芽生えるんだろう?』という思いはあるので楽しみではありますね。ただ、『つらい話だったりすると耐える自信がなくて、感情の歯止めが利かなくなりそうだな』という想像はしています」

――作品の冒頭に、劇作家のバーナード・ショーの「人生で一番影響を受けた本 それは銀行の預金通帳である」という言葉が紹介されていますが、ご自身の人生で一番影響を受けたと思うことは?

「この仕事を始めてから、映像作品や俳優さんたちなどからものすごく影響を受けているのですが、自分の起源で言えば父親かな。大人になって自分が父親になった今思えば、この人格が形成されたのは、両親がいろんな愛を与えてくれたからなんだろうなと。趣味や思考、考え方から好きな物まで、なんとなく父に似てきているので(笑)」

――最後に、映画を観賞される皆さんにメッセージをお願いします

「僕が思う"監督が伝えたいこと"は、『本当に大切なものは目に見えない』ということ。『今ではなく未来のために、自分だけではなく誰かのために、お金ではなく愛のために』というメッセージを、観る方の視点によっていろんな受け取り方ができる作品だと思います」

撮影=皆藤健治 取材・文=原田健
ヘアメイク=石川ユウキ スタイリスト=根岸豪

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公開情報

親のお金は誰のもの 法定相続人
2023年10月6日(金)公開

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