中村雅俊と言えば教師役!文豪・夏目漱石原作の映画「坊っちゃん」

(C)1977松竹株式会社

映画・ドラマ・アニメなど、過去に何度も映像化されてきた「坊っちゃん」だが、1977年版「坊っちゃん」は、松竹のドル箱シリーズ「男はつらいよ 寅次郎と殿様」の併映作品として公開。メガホンをとったのは、松竹のプログラムピクチャーという枠組みの中で、独自のユーモアセンスを織り交ぜた数多くの喜劇作品の傑作・怪作を発表してきた鬼才・前田陽一監督。漱石の「坊っちゃん」を「明治時代の青春痛快ユーモア小説」と評した前田監督は、そうしたテーマを念頭に躍動感あふれる演出で映画化。「主演の中村雅俊くんは、これまでの『坊っちゃん』たちの中でも最高のものとなるであろう」と手応えを感じていたようだ。

その前田監督の言葉通り、本作は中村雅俊という俳優が持つ明るさ、快活さ、さわやかさ、熱血漢な部分などを前面に押し出しており、まさに青春スター、中村雅俊ならではの青春活劇という趣となっている。冒頭、愛媛にやってきた坊っちゃんが、ひょんなことから山嵐(地井武男)とケンカを始めるという冒頭シーンから、クライマックスの乱闘シーン、そして青春そのものともいえるすがすがしくもさわやかなエンディングなど、坊っちゃんが生徒たちと一緒に青春を謳歌しているさまが描き出されており、思わず物語の世界にのめり込んでしまう。松山ロケがもたらす美しい風景もどこか懐かしさを感じさせる。

(C)1977松竹株式会社

また共演者も松坂慶子、地井武男、米倉斉加年、大滝秀治、など実力派キャストの競演も注目のポイントだ。マドンナ役の松坂は当時はまだ清純派女優として売り出していた時期で(一般的には本作の直後に放送されたドラマ「青春の門(第2部)自立編」や、映画『事件』などで清純派を脱皮したと言われている)、凛としたたたずまいが印象的。明治という時代背景の中にありながらも、自立した現代的な女性像としてマドンナを描き出したのも本作ならではの妙味である。

文=壬生智裕

この記事の全ての画像を見る

放送情報【スカパー!】

映画「坊っちゃん」
放送日時:10月29日(日)20:15~
放送チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー