しかし本作はタイトル通り"バイオレンス"な"アクション"映画。原作には、かなりの身長差のある大男と対峙する場面もある。橋本がどこまでこなせるのか...と実写化発表のときに不安に感じた人もいただろう。それでも橋本自身はインタビューでも、小さい頃からアクション映画が大好きで、演じる上でも興味があるジャンルと話しているように、やる気満々で作品に臨んでいた。
本格的なワイヤーアクションや、360度全方位で映像撮影が可能なボリュメトリックキャプチャという映像技術にも挑戦し、体の柔軟性や瞬発力など身体的な"強さ"も見せつけた。その意味で、橋本の新たな一面が垣間見られる作品だと言えるだろう。
もう一つ、橋本の俳優としての特徴と言えば、漫画やアニメ作品を実写化した際、キャラクターに説得力を持たせる能力に長けていること。本作で橋本が演じた菊野ケイは、可愛い顔をした殺し屋。ビジュアルを含めて、リアリティを持たせるのは非常に難しいキャラクターだ。
しかし橋本は、非日常の設定を生身の人間として成立させている。そこには彼女の作品への愛が大きな要因となっている。橋本は無類の「漫画好き」で、それは自身でも公言している。出演する漫画の実写化作品も、自分で愛情が持てないものには出ないようにしているという基準を設けているというのだ。
だからこそ妥協がない。原作のファンが失望するような中途半端なことをしたくないと思う一方で、ファンだからこそ「ここまでだったら大丈夫かな」という二次元と三次元の微妙なさじ加減にも細心の注意を払っている。
こうした橋本の思いは「バイオレンスアクション」でも体現されている。殺し屋という非日常をデフォルメした部分と、普通の女の子という生々しいところを絶妙なバランスで演じている。また福田雄一監督とのタッグで、培ったコミカルなテンポや間の演技も、非常に秀逸で、112分という時間がアッという間に過ぎていく痛快さがある。
文=磯部正和
放送情報【スカパー!】
バイオレンスアクション
放送日時:12月31日(日)20:00~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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