星組トップスター・礼真琴がパワフルな演技を見せたミュージカル「1789-バスティーユの恋人たち-」

舞空瞳
舞空瞳

Le Spectacle Musical ≪1789 - Les Amants de la Bastille≫ Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen International Licensing & Booking, G.L.O, Guillaume Lagorce ⒞宝塚歌劇団  ⒞宝塚クリエイティブアーツ

革命を牽引する三人、ダントン(天華えま)の豪放磊落さとロベスピエール(極美慎)の清廉潔白、そして皆を率いるデムーラン(暁千星)の人徳と、三者三様のキャラクターがしっかり立っている。2017年に上演された雪組公演「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~」で彼らのその後の悲劇も知っているだけに、この時点のチームワークがいっそう尊いものに思える。

「マリー・アントワネットは王妃でなく普通の女性として生まれていれば幸せな人生を送れたのかも」とは、よく言われることだが、有沙瞳のアントワネットは「普通の女性」のふんわりとした優しさを表現していた。そんなアントワネットを愛するフェルゼン(天飛華音)は「愛に命を賭ける」姿を示してみせる。

アルトワ伯(瀬央ゆりあ)は、ただならぬ妖気で異世界感を漂わせ、神に成り代わらんとする野心が伝わってくる。だが、彼に仕える手下の三人組は、ちょっと間抜けで笑わせてくれる存在だ。リーダーのラマール(碧海さりお)の一挙一動が微笑ましい。

専科から特別出演の輝月ゆうま演じる貴族将校ペイロールは、まさに「巨大な壁」のような威圧感で、革命派の民衆たちの前に立ちはだかる。
 
ロナンの妹ソレーヌ(小桜ほのか)は、素朴な田舎娘からパリの娼婦へと転落する。しかし、そこから目覚めて革命に身を投じていく変貌ぶりから、激動の時代を生き抜いていく女性のしたたかさが伝わってくる。

星組版「1789」の凄さは、一人ひとり違う人生を生きている民衆が、革命に向けてそのエネルギーを収束させ、爆発させていく様を描き切っているところではないかと思う。いわば、この作品の真の主人公は民衆であり、その中の一人がロナンということなのかもしれない。

文=中本千晶

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放送情報【スカパー!】

1789-バスティーユの恋人たち-(’23年星組・東京・千秋楽)
放送日時:8月4日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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