
――今回、久保さんが演じられた月菜は、強迫性障害を抱えている良城との距離感で悩むシーンも多く描かれています。演じる上で意識されたことはありますか?
「良くん本人が一番気にしていることだからこそ、気を遣っている素振りを見せてはいけないというか、月菜もそういう部分をすごく気をつけていたんだろうなと思いました。だからこそ、1人の時と良くんと一緒にいる時の月菜では、全く違う表情や雰囲気を持たせたいという思いがあって。それを表現するのは簡単ではありませんでしたが、『触れられない』というテーマ自体がとても苦しいものだったので、そういった感情を意識しながら演じました」
――月菜自身に共感する部分はありましたか?
「私自身もあまり人に自分の気持ちを伝えられないタイプの人間なので、共感できる部分が多かったです。ただ、その中でも特に印象に残っているのが、月菜が1人で海を眺めるシーンです。演じている私自身にとっても、すごく大切なシーンで、月菜という人物を表現する上で非常に重要だったなと思っていて。私自身、考えることが好きで、それが苦ではないタイプなんですが、もしかすると月菜も同じような人間なのかな、と感じました。彼女は触れてもらえないという大きな壁を抱えながらも、良くんと一緒にいることを選んでいる。それはもちろん愛情が大きな理由だと思いますが、それだけではなく、彼の人柄が好きだからこそ、たくさん考えた上でその選択をしているんだと思います。そういった"考えるのが好き"という点が、月菜を演じる中で私自身が似ているなと感じた部分でもありました」
――良城との関係で言うと、触れたくても触れられないというある種の壁みたいなところがあると思うんですけど、久保さんは壁に当たった時にどのように対処しますか?
「私は諦めが悪い性格なので、基本的に諦めない...かな(笑)。本当に諦めが悪くて、効率が悪いなと思うこともあるんですけど、何かに直面したら、こじ開けるまで地道に壁を壊していくタイプです」
――立ち止まった時に他人に相談はされるんですか?
「あまり相談をするタイプではないですね。家族にも心配をかけたくないので、あまり悩みを打ち明けたりはしません。その代わりに、自分でひたすら問題に向き合い続けるかなり時間のかかるアナログな方法を取っているのかなと思います」
映画情報
映画『誰よりもつよく抱きしめて』
2025年2月7日(金)全国公開
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