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シリーズ第3作目となり、美空ひばり演じる小春の魅了は輝きを放っていた。代名詞の歌は特に雄作と恋愛のジンクスがある橋の下で過ごした時の歌声が素晴らしい。哀愁をまとった語り口で聞かせたかと思えば、酒に酔って自暴自棄になった際には意図的に曲の乱れをいれつつ怒りや悲しみをダイレクトと届けていた。ミュージカルともまた違う、美空ひばりの演歌ならではの表現力を確かに感じる。
また、小春は江戸っ子で男勝りの賢い芸者。他の芸者をまとめるリーダーシップを発揮しておりどっしりと構えた芝居をしている。そんな小春がコロッと恋に落ちるのだが観ている側も展開に圧倒される。だが、それが不思議と不快ではなくむしろ最近の映画にはない素直さと下町の元気で真っ直ぐな芸者の姿に自然と惹かれる。雄作を演じた高倉健も流石の芝居でどことなく品がある二枚目を演じていたが、映画全体の雰囲気を柔和にそれでいて安心して没入できるように作り上げたのは美空演じる小春の違和感の無さだといえるだろう。
1960年製作ということもあり、今の若い世代で観たことがある人は数少ないだろうが美空ひばりと高倉健を知らないという人は少ないだろう。現代のネットを介した恋模様とは全く違う恋の道を是非とも世代問わず、一度観てみては。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
続々べらんめぇ芸者
放送日時:4月1日(火) 13:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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