竹野内豊の静かな演技が心にしみる!激戦地で民間人を守り抜いた実在の人物・大場栄を演じた映画「太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−」
俳優

物語が始まるのは1944年6月。日本の統治下にあったサイパンに、アメリカ軍が上陸作戦を敢行した。圧倒的な兵力に押され壊滅した日本軍は、残った兵力で玉砕覚悟の総攻撃を仕掛けるつもりでいた。
大場はこの時大尉で、部隊を指揮すると同時に、自らも戦場に立つ立場だった。大場はどちらかというと寡黙な印象で、感情もあまり出さないが、追い詰められた状況が繊細な演技から伝わってくる。総攻撃の命を受ける場面では、表情は変わらないが、身体の奥に死を覚悟したような冷たい決意が固まっているような空気がある。また、攻撃に向かう際、陣地に残してきた負傷兵が自害する銃声が響いた時は、心が空虚になったような眼差しとなる。多くを語らない大場だが、心の底にさまざまな感情がうねっている気配が感じられるし、それを眼差しや空気で伝える竹野内の演技はさすがだ。
そして総攻撃が始まり、多くの兵が命を落とす。生き残った大場はその後タッポーチョ山に逃れ、避難していた民間人を守るために戦うようになる。その過程や、潜伏という過酷な状況の中で、大場はさまざまな表情を見せる。
移動中にコーラの瓶を見つけ、米軍が近くまで来ていることを知った時の厳しい目つき。隠れている民間人の女性が大場に気持ちを寄せるような素振りした時には、視線を泳がせ、純な青年のような姿も見せる。実直かつ優秀な軍人としての大場の姿、また、1人の人間としての大場を、竹野内は要所で印象的に演じている。
■降伏を知った時に滲む絶望、投降の際の澄んだ空気...戦争の悲哀を深く体現した竹野内
放送情報【スカパー!】
太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-
放送日時:2025年8月15日(金)21:00~、8月19日(火)8:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
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