伊藤沙莉、「伸び伸びしている感じは自分ともリンクしている」役柄とは――映画『風のマジム』
俳優

(C)黒木早紀子
沖縄の地でラム酒づくりに挑戦した女性の実話をもとに、原田マハの小説を映画化した『風のマジム』が、2025年9月12日(金)より全国劇場にて公開される。
豊かな自然と人々の絆を背景に、主人公・伊波まじむが夢に向かって歩み出す姿を描いた物語だ。主人公を演じるのは、数々のドラマや映画で幅広い役を演じてきた伊藤沙莉。祖母役の高畑淳子、母役の富田靖子をはじめ、滝藤賢一や染谷将太ら豪華キャストが脇を固め、沖縄ならではの文化や風景とともに、世代を超えて受け継がれる"真心"を鮮やかに映し出す。
まじむという役を通して見えた"伊藤沙莉らしさ"とは?作品の温かさとともに、彼女の素直な思いを聞いた。
(C)黒木早紀子
――主人公・伊波まじむを伊藤さんにオファーした理由について、芳賀薫監督は「他にいない」とおっしゃっていましたが、ご自身はオファーを受けたときの心境は?
「ここ何作か、『女性初』といった役柄をいただくことが続いていたので、似たような役はどうかなと一瞬よぎったんです。でも、それ以上に作品のテイストがこれまでと違うな、と。1人の人生や家族の人生を多角的に描いていて、とても温かいと感じました。もちろん新たな道を切り拓いていく物語ですが、自分にとっても新鮮な挑戦になると思ったんです」
――主人公・まじむをどんな人物だと捉えましたか?
「あまり欲がない人だなと思いました。まじむはお酒が好きで、お酒に対する純粋な興味と、沖縄ならではのものを作りたいという思いから、沖縄産100%のラム酒の製造にたどり着いたんです。先輩社員の冨美枝さんに『仕事に生きる女だったのね』と言われたときの驚いた表情や答えに、一番まじむらしさが表れていると思います。まじむは出会いや縁にもとても恵まれていて、欲のなさが人を惹きつける。そこに彼女ならではの特別な力があるんじゃないかなと感じました」

©2025 映画「風のマジム」 ©原田マハ/講談社
――欲のなさが人に自然と愛される役柄は、明確なビジョンを持って突き進む人よりも演じる上で難しさはありましたか?
「まじむの場合、本音でしか話していないので、言葉の裏の意味などを考えなくていいんですね。(言外に)含んだ意味もなく、耐える力や心の強さは持っていますが、人と戦うことも望んでいないですし、自分のやりたいことを見つめて一生懸命頑張っているだけ。まじむを演じる上では、誰との会話にも含みを持たせなくて良いから、純粋に楽しかったです」
――まじむの"欲のなさ"や"戦わない姿勢"に、ご自身が共感する部分はありますか
「ありますね。私も戦うのは好きじゃないんですよ(笑)。まじむは自分が楽しいと思うことをやっているのであって、競争でもなければ、人と比べることもない。『私だっていつかは』みたいな野心もないですし、あくまでマイペース。そういった点もちょっと似ているかもしれないです」
作品情報
「風のマジム」
2025年9月12日(金)より全国公開
出演:伊藤沙莉/染谷将太/尚玄/シシド・カフカ/橋本一郎/小野寺ずる/眞島秀和/肥後克広/滝藤賢一/富田靖子/高畑淳子
原作:「風のマジム」原田マハ(講談社文庫)
脚本:黒川麻衣 監督:芳賀薫
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