主人公・大和を演じるのは、JO1の川西拓実。明るくまっすぐで、気のいい体育会系大学生を等身大の演技で表現している。そんな大和の家で勝手にメロンパンを食べるなど、自由気ままに過ごす賢役には、同じくJO1の木全翔也が扮し、気心の知れた仲間ならではのリラックスした空気感を作り出している。2人がスタート地点に選んだ都庁前に姿を現していた勇吾を演じるのは、JO1の金城碧海。高校卒業後は家族で経営している町工場で働き、「逃走中」で獲得する賞金で資金難の工場を立て直すと意気込む青年役に、緊張感ある演技で確かな存在感を与えた。

FANTASTICSから参加したのは、中島颯太、瀬口黎弥、佐藤大樹の3人。中島は、少し控えめで気弱な大学生・瑛次郎役。高校時代に起きたある一件で、他の陸上部メンバーに対して負い目があるために一歩引いた場所にいる瑛次郎を、眼鏡姿で演じている。瀬口は、ファッションオタクの専門学校生となった陸役に扮する。訛りが強いことをからかわれ、自分の言葉では話せなくなった男子小学生・カイを助けるなど、心優しく頼りがいのある陸を、持ち前の明るい笑顔で体現した。そして、高校時代の大事な大会を前に突如、姿を消した元陸上部エース・譲司役を演じる佐藤は、実際の「逃走中」に参加した経験の持ち主。大和たちの回想シーンの中でも登場する高校時代と現在とでは表情も雰囲気も正反対になってしまった譲司の変貌ぶりを、佐藤は見事に表現してみせた。

大和は「面白そうだから」、賢は投資での損失を補填するため、勇吾は家族で営む町工場を立て直すため、陸はファッションアイテム購入資金と、それぞれの動機と目的で「逃走中」に参加した彼ら。ミッションが進み、脱落者が増えていく中で、瑛次郎や譲司の参加動機も明らかにされていくといったミステリー仕立てのストーリーが、一攫千金サバイバル・ゲームの進行と共につづられていく。

最初はハンターからの逃走を楽しんでいたものの、ある異変をきっかけに、命がけのデスゲームに自分が参加している自覚を持つ参加者たち。陸上部というバックボーンを持つ大和たちが、その俊足を活かして、かつての友情を取り戻していくシーンは、JO1とFANTASTICSのファンだけでなく、多くのエンタメファンの胸を揺さぶるはずだ。

ダイアンの津田篤弘、錦鯉の長谷川雅紀ら人気お笑い芸人をはじめ、ガチャピンやHIKAKINといった人気者、そして大御所俳優・松平健など、豪華な顔ぶれが作品を盛り上げる、手に汗握るサバイバル・ムービー。人気ボーイズグループの面々の熱演に注目しながら、命がけの"鬼ごっこ"を体感してほしい。

文＝中村実香