高倉健&三浦友和の力強い全身全霊の演技!儚く美しい吉永小百合との共演も必見「海峡」
俳優
『海峡』(C)1982 TOHO CO., LTD.
吉永小百合は1960年代の日活青春映画のスターから、1970年代には「男はつらいよ」シリーズ(1972&74年)のマドンナ、「青春の門」(1975年)などで大人の女性へと成長を遂げ、「動乱」では高倉健演じる二・二六事件の青年将校の妻を熱演。それに続く高倉との共演が「海峡」だった。
ここでは自分の不注意から働いていた旅館で火事を出してしまい、その責任を取って自殺しようとしたところを、阿久津に救われる多恵を演じた。多恵は阿久津が世話してくれた居酒屋で働きながら、彼のことを秘かに思っているが、阿久津には妻子がいるのでそこから踏み出せない。そんな耐える女の心情を、抑制された演技で絶妙に表現している。
その後も彼女は、「細雪」(1983年)、「おはん」(1984年)、「映画女優」(1987年)、「つる -鶴-」(1988年)と続いた市川崑監督とのコンビ作で、女優として"美"の絶頂を極めた。一方で「天国の駅HEAVEN STATION」(1984年)では、殺人犯の死刑囚という役にも挑戦。その充実した80年代を象徴する1本が「海峡」である。
■三浦友和の青年の香り漂う演技にも注目
また三浦友和は1970年代、「伊豆の踊子」(1974年)から「古都」(1980年)まで山口百恵とのゴールデンコンビで青春映画スターをしての地位を確立し、80年代に入ってからは「獣たちの熱い眠り」(1981年)で男臭いアクションにも挑戦、戦争映画の大作「大日本帝国」(1982年)でも確かな演技を見せていた。
その彼が「海峡」で演じたのは、ケンカ早いが根は真面目な仙太。仙太は洞爺丸台風で両親を亡くし、天候に左右されない青函トンネル工事に人並み以上に執念を燃やす。そんなエネルギッシュな若者を、体当たりで演じている。三浦友和はその後、「台風クラブ」(1985年)のいい加減な教師役で見事に大人の俳優へと脱皮。いわば「海峡」は彼にとって、青年の香り漂う最後の役柄でもあった。
高倉、吉永、三浦に加え、人生の大半をトンネル堀りに費やしてきた源助の年輪を感じさせる森繁の滋味あふれる名演が光る、「海峡」はまさに大作らしい大作である。
文=金澤誠









