(C)2020「Fukushima 50」製作委員会
佐藤が演じるのは、第一運転管理部・当直長の伊崎利夫。壁一面に計器が並んだ中央制御室で、数値を見ながら原発の状態を把握し、正常かつ安全な運転がなされるよう指揮する責任ある役職だ。
物語は地震発生から始まり、大きな揺れに中央制御室は混乱に陥る。伊崎ら作業員の戦いも、そこから始まる。津波が原因で電源が喪失した時には、伊崎は蒼白となって視線を泳がせ、格納容器の圧力を下げるベントを開くためのメンバーを募る時には、重苦しい表情となる。そういったシーンでは佐藤の熱演によって、現場の緊迫感と、危険と隣り合わせの状況がストレートに伝わってくる。
ベントを開けに行った者が帰還した時の歓喜の表情や、家族の名前が書かれたメモを見つめる時の虚ろなまなざしなど、伊崎の人間味が感じられるシーンも随所にある。そういったシーンを見るにつけ、仲間を、人々を守るという伊崎の強い想いが伝わってきて、思わず胸が熱くなってしまう。
■本店、政府の横槍と安全確保の間で苦闘する所長を、渡辺謙が迫真の演技で魅せる
(C)2020「Fukushima 50」製作委員会
渡辺が演じるのは福島第一原発の所長・吉田昌郎。吉田は緊急対策室からさまざまな方面に指示を出すが、事態は思うように進まない。非常電源が停止した時は、どうすべきか焦燥に駆られた様子を見せ、原子炉を冷却するために消防車を使うと決めた時は、険しい表情で声を荒げる。
所長としての立場もあって、吉田には、伊崎とはまた違った苦難が立ちはだかる。現場を考慮しない、電力会社と政府からの理不尽な指示だ。ベントを開こうという時に、首相が視察に行くから開くなと指示が来たり、海水を冷却水として注水すれば、それを止めろという。そのたびに吉田は、苛立ったような表情を見せ、怒りを露わにする。そんな吉田の姿からは、伊崎と同じく、メルトダウンを止めたいという必死さ、また本店と政府への憤りが痛いほどに伝わってくる。それをスクリーンの中で切に体現する渡辺の演技には、感服するほかない。
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