満島ひかりの"抑制された情熱"を感じさせる演技!艶っぽい表情から目が離せない「駆込み女と駆出し男」
俳優
(C)2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会
しかし、この「駆込み女と駆出し男」における彼女は、それらとは一線を画す。本作では、感情を爆発させるのではなく、江戸の美徳である"粋"というオブラートで包み込んでいる。叫びたいほどの悲しみを、あえて早口な冗談や艶っぽい微笑みの下に隠す。
この"抑制された情熱"こそが、彼女のキャリアの中でも特に成熟した魅力を放っている。また、これまでの作品では「守られる側」や「孤独に耐える側」が多かったが、本作ではじょごを導き、支える「姉」のような包容力を見せる。自らの死を予感しながらも、他者の未来を照らそうとするその眼差しは、慈愛に満ちており、彼女の演技の幅がさらに広がったことを証明した。
「駆込み女と駆出し男」は、江戸という不自由な時代に抗った女たちの記録である。その中心で、満島ひかりは"女の意地"と"深い愛"を、これ以上ないほど美しく、そして切なく演じきった。本作に刻まれた彼女の残り香は、映画が終わった後も、いつまでも消えることはないのである。
文=石塚ともか









