朝ドラ「ブギウギ」で存在感を発揮した黒崎煌代、濱口竜介監督作「急に具合が悪くなる」など今後の活躍も予感させる映画「見はらし世代」
俳優
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仕事中や姉と話す時の淡々とした間や反応など、黒崎の立ち居振る舞いは渋谷の街にいそうな普通の青年そのものだ。しかし、ふとした沈黙にも瞬き一つにも、蓮の細かな心の動きが伝わってくる。視線の揺らぎは戸惑いや苛立ちを、鋭い眼光に行き場のない怒りや奥底に秘めた悲しみを覗かせる。久しぶりに再会した父に絞り出す言葉が、切なく痛々しい。
かつて確かにあった家族そのものへの憧憬、許したいのか許せないのか自分でも分からない複雑な父への想い...。変わりゆく渋谷の街を背景に、彼の存在とその感情が際立つ。自然体ゆえに生々しい、黒崎の演技に引き込まれた。
本作を含め昨年目覚ましい活躍を見せた黒崎は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」(2021年)で知られる濱口竜介監督の最新作「急に具合が悪くなる」(2026年)も控えている。今後さらなる飛躍を見せるであろう期待の若手・黒崎の初主演作となった「見はらし世代」で、その実力を確かめてほしい。
文=中川菜都美









