近年では刑事役のイメージが定着した寺島進の代表作の1つ、「駐在刑事」シリーズ。笹本稜平による推理小説を実写ドラマ化した本作は、これまでに連続ドラマがSeason3まで、そして単発ドラマも8作、制作されてきた。
シリーズを通して寺島が演じているのは、自然豊かな奥多摩・水根に駐在する警察官の江波敦史。かつては警視庁捜査一課の刑事として活躍していた経歴を持つが、今では老若男女から「駐在さん」と呼ばれて頼りにされながら、奥多摩の平和と安全を守るために難事件にも立ち向かう。
そんな人気シリーズの現行最新作が、2023年に放送された「駐在刑事SP2023」だ。ホームドラマチャンネルで5月1日(金)20:20からCS初放送される。本作の1年前に放送された前作に引き続き、本作もロケーションは夏の奥多摩。海外から訪れる観光客が激増し、水根の観光案内所も対応にてんてこまいの中、江波は日本語がほとんど話せない韓国からの旅行客、パク・ジョンホ(ユン・ソンモ)とミヨン(浅田芭路)親娘の面倒を見ることになる。
その頃、東京では身元不明の若い女性が刺殺される事件が起こり、時を同じくして水根の渓谷の浅瀬でも男性の変死体が発見される。一見、何の繋がりもなく思える2つの事件だったが、両者とも被害者の携帯は見つからず、男性が持っていた免許証は偽造されたものだった。捜査が難航し、シリーズおなじみの警視庁捜査一課管理官・加倉井国広(北村有起哉)も奥多摩を訪れる中、江波は元敏腕刑事の勘と人間力をフル稼働させ、奥多摩署刑事課長・和泉玲香(藤井美菜)とともに事件を紐解いていく。
■ますますエネルギッシュでコミカルに!江波を演じる寺島進のみなぎる演技
語学は苦手な江波だが、持ち前の明るさと世話焼きな性格、そしてオーバーリアクションで、インバウンド客への対応もたくましく乗り切る日々。泊まる場所も決まっていないというジョンホとミヨンを水根旅館の女将・池原美也子(市毛良枝)に任せ、休日には部屋に籠り気味の親娘を遊園地に連れ出す。観光ガイドのみんなとスイカを食べながら、「奥多摩の風景は故郷に似ている」というジョンホに「第2の故郷か、いいね!」と膝を打つ。
一方、奥多摩警察署には変死体事件の対処のため、警察庁捜査一課管理官・御子柴浩司(福士誠治)が、可愛がっている盆栽を持って出向してくる。江波が現場で不審な男を見かけたと話すと、"大至急、連れて来い"と命令。その強引さに彼を「盆栽管理官」呼ばわりしながらも出かけた先で、江波は再び例の男と遭遇。声をかけたら抵抗したため公務執行妨害で逮捕し、御子柴を呆然とさせる。
渓流の中での寺島のアクションシーンは迫力たっぷりで、鋭い眼光も含め、お人好しと言われている「駐在さん」の日常とはまるで別人。奥多摩のムードメーカーとしての弾けた顔と、数々の修羅場をくぐってきたであろう元刑事の顔を巧みに使い分ける寺島の演技は、最新話にしてますます熱量を増している。
■国を超えての共演も見どころ
笑うことも話すこともしないミヨンと、物憂げにしているジョンホを気にかける江波。そんなある日、東京で殺害された女性とジョンホに接点があったことが判明する。ジョンホはミヨンとの関係も含め、取り調べを受けることになるのだった。その帰り道に旅行だと嘘をついていたことを江波に謝罪し、「自分は負け組だ」とおぼつかない日本語で話すジョンホ。彼の言葉を背中で聞いていた江波は「悪い日本語、覚えない方がいいよ」と声をかけ、自分の過去を振り返りながら、奥多摩での仕事に誇りを持っていると語る。そのシーンでの寺島とソンモの人間味溢れる芝居は、じんわりと心に滲みるものがある。
殺害された女性の素性が徐々に明らかになっていく状況の中、ミヨンを守ってきたジョンホの心根を信じ続ける江波。女性は誰に殺害されたのか?そして、奥多摩で変死体として見つかった男と、江波が逮捕した不審な男は、事件に絡んでいたのか。寺島の硬軟織り交ぜた演技によって、2つの事件の謎解きがより見応えのあるものとなっている本作を、その結末までぜひ楽しんでいただきたい。
文=山本弘子











