「女王の教室」出演前の天海祐希の演技!今に通じるコミカルさも魅力的な「あした吹く風」

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天海祐希が演じる母親・鈴子が魅力的!
天海祐希が演じる母親・鈴子が魅力的!

決して裕福とは言えない猪熊家を仕切っているのは、文句を言いながらもサバサバした明るい性格の鈴子だ。本が大好きなあかねにお小遣いをねだられ、すでに前借りしていると却下。それにもかかわらず、新しもの好きの鉄幹が当時としては高価な自転車を無断で買ってきてしまい、頭を抱える。

怒り心頭の鈴子は鉄幹の夕食を抜きにするという手段に出て、子供たちと食卓を囲む。振り向く夫をギロリと睨む視線やこっそり庭に置いてある自転車のペダルを漕いで嬉しそうな笑顔を見せる芝居は、コメディエンヌとしての才能を高く評価されている現在の天海に通じるものがある。

町の貸し本屋で働く大学生・茂(窪塚洋介)に心をときめかせるあかねの変化に気づいた鈴子が、"はは〜ん"とばかりに得意気な表情で両手を腰に当て、娘の恋の相手を勘違いするくだりも天海らしく、思わず頬が緩む場面だ。

■夫の浮気と娘の反抗。猪熊家が揺れるひと夏の物語

夏休みといえども贅沢はできない一家だが、ドラマは起きる。銀座の有名画廊の店主・犬伏恵子(高橋ひとみ)が鉄幹の才能を絶賛し、作品を依頼してきたため、鉄幹はすっかり有頂天。とはいえ、ぐうたらな性格は変わらず、浮気までされ、我慢の限界に達した鈴子はついに離婚を決意する。

しかし、茂のことが気になって仕方がないあかねは鈴子についていくことを強い言葉で拒絶。ついにはあかねが隣に住む同級生で理解者でもあるひろしとひと夏の冒険の旅に出る。貸し本屋の茂が学生運動の匂いを漂わせていたり、文学少女のあかねが早熟な感性を持つ子供だったりと、懐かしい街並みや家のセットのみならず、あの時代の空気が細やかに表現されているのも醍醐味だ。

成長していく娘を悲しそうに見上げる視線や困惑する表情など、姉御肌のイメージが強い天海とは違う側面も見せつつ、家族を太陽のように照らす存在の母親像を瑞々しく体現した天海。1969年は国民的アニメ「サザエさん」のTV放送が始まった年でもある。あの頃の日本にタイムリープ。そんな感覚が味わえる作品でもある。

文=山本弘子

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