石原さとみが"おじさん"を好演?若手時代の意欲作「椿山課長の七日間」で見せた、コミカルの中にも光る確かな表現力

俳優

1
石原さとみが演じるのは、中身は中年男性の爆美女
石原さとみが演じるのは、中身は中年男性の爆美女

(C)テレビ朝日・MMJ

本作で石原が演じたのは、見た目は爆美女だが、中身は中年男性というコミカルかつファンタジックな役柄。その中身が椿山課長だと視聴者が一目でわかるほどに、石原は変顔も厭わない豊かな表情とアクションを披露する。中でも、甦った椿山課長が初めて爆美女としてホテルのベッドで目覚め、鏡の中の自分を見て驚くシーンが、とにかく楽しい。あまりの衝撃に絶叫する姿や、霊界のお役所担当者(清水ミチコ)との会話など、船越のダイナミックで個性的なセリフ回しが乗り移ったかのような熱演。さらに、自分が爆美女になったことを椿山が鏡を見つめながら確かめる場面では、セクシーポーズを取った石原が「可愛いじゃん、俺」と満足げにつぶやく。その時に見せるギラギラとした眼光は、まさに中年男性のそれで、石原の演技力の高さに圧倒されるのと同時に、思わず笑いがこみ上げてしまう。

近年は、硬派なラブ・サスペンスドラマ「Destiny」での検事役や、映画「ミッシング」で演じた、娘の失踪事件を機に「育児放棄の母」と世間から誹謗中傷を受ける母親役などで、クールで重厚な演技を見せ、俳優として新境地を切り拓いている石原。そんな彼女が20代前半、若手時代に出演した本作では、元気いっぱいのフレッシュでコミカルな演技を披露しており、観る者を笑顔にしてくれる。

椿山がホテルのバーで、中身がヤクザの親分・武田である弁護士の竹之内にナンパされるシーンでは、ダンディーな竹之内が放つ大人の色気にうっとりしたり、濃いアルコールに少し顔をしかめたり、我を取り戻してグラスをあおったりと、石原がキュートな百面相を見せている。コミカルで可愛らしいと同時に、演技力の高さも味わえる絶品シーンだ。その他にも、椿山の父・和利(津川雅彦)との再会シーンでこぼす真珠のような涙や、息子・陽介とキャッチボールをする時に見せる父性を感じる優しい微笑みなど、若手ながらも確かな表現力を持つ石原の魅力が、これでもかと詰め込まれた本作。その味わい深い演技に注目しながら、笑って泣けるハートフル・コメディで笑顔になってほしい。

文=中村実香

この記事の全ての画像を見る
  1. 1
  2. 2
  1. 1
  2. 2
Person

関連人物