西島秀俊の冷静な佇まいが不穏さを際立たせる!「MOZU」「ドライブ・マイ・カー」にもつながる"抑えた演技"で魅せる「怪奇大作戦 セカンドファイル」

俳優

1

西島秀俊の冷静な佇まいが、「怪奇大作戦 セカンドファイル」の不穏さをいっそう際立たせている。本作は1968年に放送された円谷プロの特撮ドラマ「怪奇大作戦」を、現代的なアレンジでよみがえらせた全3話のSFサスペンス。高度化する科学犯罪や不可解な怪事件に挑む特殊科学捜査研究所、通称SRIの活躍を描いた作品だ。西島が演じるのは、SRIのメンバー・牧史郎。怪奇現象のように見える事件の裏側にある科学的な真相を追いながら、その先にある人間の弱さや歪みにも向き合っていく。

多くの視聴者にとって、西島の落ち着いた佇まいや芯の強さを感じさせる芝居は、これまでの出演作の中でも印象に残っているのではないだろうか。「あすなろ白書」で広く知られる存在となったのち、黒沢清監督の「ニンゲン合格」では、長い昏睡から目覚めた青年の空白を、どこか現実から半歩離れたような空気で表現。北野武監督の「Dolls」では、言葉にならない哀しみを身体の動きや視線に宿した。その後も「ストロベリーナイト」や「MOZU」では、喪失や執念を抱えた男たちを演じ、静かな芝居の中に消えない熱を感じさせてきた。

怪事件の真相を追う牧史郎を、西島秀俊が抑えた演技で体現する「怪奇大作戦 セカンドファイル」
怪事件の真相を追う牧史郎を、西島秀俊が抑えた演技で体現する「怪奇大作戦 セカンドファイル」

一方で、近年の西島は、作品ごとに違った魅力を見せている。「きのう何食べた?」では、恋人との穏やかな暮らしを大切にする筧史朗を自然体で演じ、「ドライブ・マイ・カー」では、妻を失った家福が悲しみを抱えながら日々を続けていく姿を丁寧に表現した。さらに「シン・ウルトラマン」や「仮面ライダーBLACK SUN」といった特撮・ヒーロー作品にも出演。スケールの大きな物語の中でも、西島の落ち着いた芝居は作品にしっかりとなじんでいた。

牧はSRIのメンバーとして、怪事件の真相を追っていく。現場で起きていることは、一見すると常識では説明できない現象に見えるが、調査を進めるうちに、そこに人間の思い込みや執着が絡んでいることがわかってくる。牧は科学的な手がかりをもとに原因を探りながら、関係者の言葉にも耳を傾ける。相手を問い詰める場面でも、強い言葉で押し切るのではなく、相手の反応を見ながら静かに真相へ近づいていく。西島の落ち着いた佇まいがあることで、牧は冷静な捜査官でありながら、人の感情を置き去りにしない人物として映るのもさすがだ。

思えば、「MOZU」で西島が演じた倉木も、妻の死の真相を追い続ける男だった。怒りも悲しみも抱えているはずなのに、それをわかりやすく叫ぶのではなく、張りつめた表情や言葉の少なさで見せていた。「ドライブ・マイ・カー」の家福も、妻を失った悲しみを抱えながら、仕事を続け、人と向き合っていく人物だった。牧史郎にも、そうした西島の演技と重なる部分がある。怪事件を追う中で、牧は必要以上に感情を見せない。だが、相手の話を聞く視線や、現場で立ち止まる時の間から、事件に関わった人間の事情まで見ようとしていることがわかる。

この記事の全ての画像を見る
次のページへ
  1. 1
  2. 2
  1. 1
  2. 2
Person

関連人物