(C)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会
同作で仲野が演じたのは、若くして結婚し子どもにも恵まれた主人公・たすく。しかしその頼りなさから妻のことねとの間に温度差が生じ、夫婦仲はこじれてしまっている。挙句の果てには男鹿の大切な伝統であるナマハゲの行事で取り返しのつかない失敗をしてしまい、ことねと別れて東京へと逃げていくわけだ。
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その後、場面は切り替わり2年後へ。たすくは東京で暮らす中で知り合いもできたが、あれ以来、酒は飲んでいない様子。フットサルや打ち上げをして仲間と過ごしていても、どこか晴れない表情からは、たすくがあの出来事から前に進めていないことを感じられる。言葉にせずともたすくの心情を伝える仲野の表現力がさすがだ。
その後、ことねが夜の店で働いていることを知り、たすくは男鹿へ戻ることを決意。やっと自身の過去の失態や、忘れられずにいたことねや娘への気持ちと向き合うことになる。もちろんだからと言って、たすくが突然生まれ変わったように大人になれるわけではなく、家族やことね、そして地元の人たちの本音に触れたり、時には拒絶されたりと現実に向き合いながら、少しずつ大人になっていく。その過程でのたすくの心の変化を、仲野は表情やまなざし、セリフ回しなど細やかな演技で表した。
また、共演の吉岡の演技も見事。冒頭ではことねが抱えるたすくへの不満や苛立ちを明確に表現した一方、2年後に再会した後からは、ことねの心情も少しずつ変わっていくさまを表現している。拒絶から始まり、怒りなのか悲しみなのか、はたまた赦しなのか...複雑なことねの感情を映し出す吉岡の表情に注目だ。
寛一郎、山中崇、余貴美子、柳葉敏郎ら多彩な共演陣が顔を揃える同作。仲野の真価とも言える繊細な演技に注目しながら、見てほしい。
文=HOMINIS編集部











