©1998「リング」「らせん」製作委員会
そんな本作を引き締めているのが、主要キャストの佐藤浩市と中谷美紀の圧倒的な演技力であろう。
医師の安藤は、ある出来事をきっかけに深いトラウマを抱え、常に悲壮感を漂わせている役どころ。自らこの世を去ろうとしたほど追い込まれていた彼が、不可解な現象に直面し、謎にのめり込んでいく姿は「生」そのものを感じさせる。皮肉なものだ。
安藤という役は、一歩間違えれば、「不可解な出来事を受け止めるだけのリアクター」に終始し、佐藤が演じる意義が薄れるリスクをはらんでいる。だが、本作を観れば、きっと「安藤は佐藤浩市でなければならなかった」と確信することだろう。生きる意味を失っていた男が、死の淵から引きずり戻されるように謎の核心へ足を踏み入れていく――佐藤は、その歪な反転劇に確かな説得力を与えているのだ。
©1998「リング」「らせん」製作委員会
一方、舞を演じた中谷の持つ透明感と、触れるとひびが入りそうな氷の瞳は、作品の世界観を決定づける欠かせない要素である。
感情の起伏を抑えた物静かな役柄でありながら、観る者の心を捉えて離さないのは、中谷の魅力があってこそ。削ぎ落とされた佇まいから自然とあふれ出る演技が、作品全体に深い余韻を残している。彼女には「美しさ」だけでは説明しきれない吸引力があるのだ。
「リング」で提示された恐怖は、「らせん」の世界でもまた感染していく。そのなかで魅せるふたりの存在感こそが、本作に根づく異質さを際立たせているのだろう。
文=浜瀬将樹










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