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そして、本作の大きな見どころとなるのがダイスを使った勝負のシーンだ。賭博から足を洗うことを決めていた譲司が、春江を救うために再び勝負の世界へ戻っていく。小林はダイスを巧みに操る手さばきも披露しており、その一連の動きにも譲司の格好良さが凝縮されている。派手なせりふや演出に頼るのではなく、手元の動きや視線、静かな間によって緊張感を作り出していくところも印象的だ。
さらに「南國土佐を後にして」は、音楽と映画が密接に結びついた作品でもある。タイトルにもなった「南国土佐を後にして」を歌うペギー葉山が本人役で出演し、劇中で響くその歌声が、故郷・高知を舞台にした物語や譲司の家族への思いと重なっていく。高知港やはりまや橋、桂浜、室戸岬などを映し出したロケーション映像も相まって、1950年代末の高知の空気を感じられるのも本作ならではだ。小林自身も俳優だけでなく歌手として活躍し、「ダイナマイトが百五十屯」「ズンドコ節」「北帰行」など数多くの楽曲を歌ってきた。映画の中に音楽が自然に入り込み、俳優と歌手という2つの魅力が共存するスタイルは、その後の小林のキャリアとも重なって見える。
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「南國土佐を後にして」が公開された1959年には、「銀座旋風児」シリーズ、そして「渡り鳥」シリーズもスタート。小林は日活アクション黄金期を象徴するスターの一人へと駆け上がっていく。そんな時期の小林を捉えた本作には、若々しさと同時に、後の作品にも通じる独特の風格がある。鋭い視線、堂々とした立ち姿、身体を使ったアクション、そして音楽との親和性。長いキャリアを築いてきた"小林旭らしさ"の原点を、一つの作品の中で楽しめるはずだ。
日活デビュー70周年、米寿という節目を迎える今だからこそ、そのスターとしての出発点に改めて触れてみるのも面白い。映画・チャンネルNECOで10月5日(月)に放送される「南國土佐を後にして」は、小林旭がなぜ昭和を代表する映画スターとなったのか、その理由の一端を感じさせてくれる作品だ。
文=川崎龍也











