阿弖流為を演じる礼真琴の見せ場の1つが、迫力に満ちた立ち回りだ。舞台狭しと駆け巡る殺陣のシーンでは、男役ならではの体躯の美しさと、しなやかな身のこなしが圧巻だ。剣を交えるたびに見せる鋭い気迫と、故郷の民を思い胸を痛める内面を映す切ない眼差しのギャップに思わず魅了される。
そして、劇中で披露される歌唱シーンでは、故郷への愛、仲間との絆、そして運命を受け入れながらも抗い続ける葛藤を、力強い歌声に乗せて客席の隅々まで響かせる。
また本作は、キャスト陣との化学反応が織りなす群像劇も大きな魅力となっている。阿弖流為の盟友である母礼(綾凰華)の妹・佳奈を有沙瞳が演じている。互いに心を寄せ合いながらも、戦いの運命に翻弄されていく2人を礼と有沙が繊細に体現している。
さらに、瀬央ゆりあ演じる、朝廷の威信を懸けて阿弖流為と対峙する智将・坂上田村麻呂との関係性も大きな見どころだ。力量を認め合う者同士のぶつかり合いは、単なる敵対関係では終わらない濃密な人間ドラマを生み出している。ちなみに、礼と瀬央は95期生の同期でもある。そんな2人が舞台上で繰り広げる対決シーンは、観る者を熱くさせてくれる。
己の信念のために命を燃やした英雄・阿弖流為の生き様と、役者として真っすぐに命を吹き込んだ礼真琴の情熱が重なり合う『阿弖流為 -ATERUI-』。現在にもつながる礼の表現者としての魅力をあらためて感じられる絶好の機会となるはずだ。
文=HOMINIS編集部











