まず、斎藤については火村という難役の「危うさ」を成立させたことが圧巻。殺人現場に快楽を求めるような人物は、一歩間違えれば奇人になるにもかかわらず、彼がもともと持つ低く抑えた声と静かな佇まいが、冷たさの奥にある孤独や人間臭さのバランスを表現していた。
一方の窪田は、天才肌の相棒を案じる保護者役でありながら頼りなさもある難しい立ち位置。火村の暴走を受け止める受けの芝居で作品に温度を与えた。実際、これについては斎藤も絶賛。続編のファン感謝イベントの際には、絶大な信頼を口にしたと盛り上がったものだ。
つまり火村と有栖川は、2人だからこそ成立する関係性。斎藤の「静」と窪田の「動」が噛み合ったからこそ、本格ミステリーとバディの関係性を味わう2つの楽しみが成立した。
そんな2人は10年後の今、それぞれの形で大きく飛躍している。
窪田は2020年にNHK連続テレビ小説『エール』で主演を務め、世代を代表する俳優の1人に。斎藤は俳優業に加えて「齊藤工」名義で映画監督としても活動。
2022年には、齊藤が監督として、窪田を主演に迎えた『スイート・マイホーム』の映画化が発表され、監督と主演俳優として結び直された関係性も話題に。そう考えると、このドラマは単なる過去の人気作ではない。2人の信頼関係の原点として見直すという楽しみもある。
キャリアを重ねた2人が再び向き合う日を期待しながら、ぜひともさまざまな目線で放送を楽しんでほしい。
文=於ありさ


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