浅野忠信が「刑事ゆがみ」で演じた"適当刑事"の面白さ 神木隆之介とのバディに光る人間味

俳優

「刑事ゆがみ」
「刑事ゆがみ」

©井浦秀夫/小学館©フジテレビジョン

もっとも、弓神の捜査は決して模範的なものではない。疑問があれば上司の指示を待たずに動き、時には違法な手段に踏み込むことさえある。ただ、その行動は単なる身勝手さから来るものではない。周囲の見立てに流されず、事件に関わった人々がどのような事情を抱えているのかを確かめようとする。規則には無頓着でも、相手の肩書や表面的な印象だけで判断することはない。こうした振る舞いから、弓神なりの刑事としての信念が見えてくる。

そんな弓神に振り回される羽生を演じるのが神木隆之介。真面目で出世欲の強い羽生は、弓神の勝手な行動に苛立ち、遠慮なく言い返す。第2話では、事件現場の検証で実験台にされた羽生が、仕返しに弓神を蹴る場面も。浅野のひょうひょうとした態度に神木がむきになって応じる様子は、2人の遠慮のない関係をよく表している。ただ、こうしたやり取りを重ねるうちに、羽生の弓神に対する見方も少しずつ変わっていく。第3話では、羽生が尊敬する元警察官・真下誠(寺脇康文)が何者かに襲われ、2人で事件を捜査。弓神の仕事ぶりを間近で見る中で、羽生は厄介な先輩の刑事としての能力を認めていく。

「刑事ゆがみ」
「刑事ゆがみ」

©井浦秀夫/小学館©フジテレビジョン

さらに、第6話では、新田真剣佑(現・前田真剣佑)が演じる青年実業家・貝取勝平への傷害事件を捜査する。貝取の過去の行動によって傷ついた家族の事情が明らかになる中、弓神も普段は抑えている感情をあらわにしていく。普段のひょうひょうとした姿との落差も大きく、浅野の演技の振れ幅がよくわかるエピソードだ。

上司の菅能に叱られ、羽生に言い返されても、どこ吹く風。それでいて、誰も気づかなかった点から事件を動かしてしまう。浅野の弓神には、頼りなさと頼もしさが同時にある。放送では、神木隆之介とのやり取りはもちろん、ふと真顔になる瞬間や、事件の関係者に向ける眼差しまで確かめてみてほしい。

文=川崎龍也

この記事の全ての画像を見る
  1. 1
  2. 2
  1. 1
  2. 2
Person

関連人物