世界で愛される名俳優・三船敏郎、その名演技が今蘇る!

羅生門
羅生門

今年は世界に名を馳せた映画監督・黒澤明の没後20年にあたる。日本のみならず、世界の映画界に多大な影響を与えた名監督だが、彼が「世界のクロサワ」となるにあたって語らずにはいられない人物がいる。三船敏郎だ。

三船は黒澤が海外で賞を受賞した『羅生門』『七人の侍』の2作で主演し、黒澤と同じく「世界のミフネ」としてその名を轟かせた。今なお世界で愛される俳優・三船敏郎にスポットを当ててみよう。

撮影部志望のはずが、ひょんなことから俳優へ

三船は1920年に中国の青島で生を受けた。父親が貿易商と写真業を営んでいたため、三船も写真の知識、技術に明るかった。戦時中は航空隊で写真部に所属し、そののち東映の撮影部にカメラマンの助手となるべく応募する。しかし何かの手違いで書類が「東宝第一期ニューフェイス募集」に回され、俳優として面接を受けこととなる。

三船はあくまで撮影部を望んでいたが、映画監督の谷口千吉の説得により1947年、黒澤明が脚本編集を務めた『銀嶺の果て』に出演し銀幕デビューを飾る。そこで三船の才能を見抜いた黒澤は、自身が監督を務める『酔いどれ天使』(1948年)の主役の一人として抜擢。同作品はヒットし、三船もスターの仲間入りを果たす。

黒澤と三船は、当時の映画界の最強タッグ

そこから監督・黒澤明と俳優・三船敏郎は、タッグを組み数々の名作を生み出していく。先に紹介した『羅生門』は1951年にベネチア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞名誉賞受賞。1954年には『七人の侍』でベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞する。

三船自身も、俳優として海外で賞を受賞している。『用心棒』では1961年にべネチア国際映画祭主演男優賞を。『赤ひげ』でも1965年に、同じくベネチア国際映画祭主演男優賞を受賞している。

黒澤とともに、三船は「世界のミフネ」となった。彼の名と名演技は世界中に知れ渡り、フランスでボート遊びをしていた彼を見つけた豪華客船の乗客がこぞって甲板に出て、「ミフネー!」と手を振ったというエピソードも残されている。

幅広い役を演じ切る三船の魅力は「勤勉さ」と「人間味」

俳優・三船の魅力とは、いったいどこにあるのだろうか?まず挙げたいのが役の幅広さだ。『七人の侍』では破天荒な侍・菊千代を演じ、『赤ひげ』では情と厳しさを併せ持つ医師・新出去定を、1949年に公開されヒットした『静かなる決闘』では、梅毒に感染し人生を狂わされた医師・藤崎恭二を演じた。

静かなる決闘

(C)1949 角川映画

まったく性質の異なる役柄を、賞を取るまでに演じ切ったその裏には、彼の「勤勉さ」がある。スターになっても驕ることなく、ノートにびっしりと演技の構想を書き込むほど役に集中していたという。

そんな三船だからこそ、人間の本性を描き出す黒澤の作品において、多くの人の胸に残る演技を見せることができたのだろう。三船主演の映画『静かなる決闘』、『羅生門』は9月6日(木)にシネフィルWOWOWで放送される。この機会に「世界のミフネ」の魅力を再認識してみてはいかがだろう。

文=堀慎二郎

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放送情報

静かなる決闘

放送日時:2018年9月6日(木)03:00~

チャンネル:シネフィルWOWOW


羅生門[デジタル完全版]

放送日時:2018年9月6日(木) 8:00~

チャンネル:シネフィルWOWOW


※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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