『小さな巨人』 長谷川博己香川照之の名言を振り返る

長谷川博己が主演を務め、2017年4月から6月まで放送されていたドラマ『小さな巨人』(TBS系)。全10話の総合視聴率において平均20%以上をマークし、そのクールでの民放ドラマ1位の数字を叩き出した人気作だ。2013年、「倍返しだっ!」だというセリフが流行語大賞にも輝いた大ヒットドラマ『半沢直樹』をはじめ、『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』などの良作を生み出した伊與田英徳プロデューサー、福澤克雄監督が再びコンビを組み、"警察"という名の巨大組織の中でもがき、奮闘する男たちの戦いを描いた。様々な伏線が張り巡らせられ、深いテーマ性も持ったエンターテインメント作で、新たなヒット誕生となった。

インフレを起こしていく、香川照之の演技とセリフ

放送当時、視聴率に比例して、SNSでも"#小さな巨人"のワードがトレンドを賑わせていた。中でも話題の中心にいたのが、捜査一課長・小野田義信を演じる香川照之。時に、画面越しでも熱が伝わって来るほどの演技は、彼の真骨頂とも言える。

長谷川が演じる主人公・香坂真一郎の上司であり最大の敵でもある小野田は、互いに対峙するシーンが多く、回を増すごとに小野田のセリフは熱を帯びていく。第5話から始まる犯人を捕まえるためには、「99%の疑いではなく100%となる証拠が必要」という小野田の教えは、第7話には「100%でも足りない、200%の覚悟が必要だ!」と倍に。香坂がその"覚悟"を見せると、「よし、200%の覚悟があるとはよく言った。知ってはいると思うが、200という数字は100の2倍だぞ? わかっているか?」と小野田は香坂に近づいていく。ビンビンと伝わって来る緊張感と畳み掛けるセリフ回し、これでもかと言わんばかりの接写によるカメラワークとに、思わず引き込まれて行く。

「長谷川博己 VS 香川照之」の最終決戦

最終決戦となる第10話では、いよいよ香坂が小野田を追い詰める。「この目にあなたの正義を見せてください!」と詰め寄るシーンでは、香坂の超ドアップ&カメラ目線。しかし、ここで食い下がる小野田は、「500%の確信を持って言ってやる!」と伝家の宝刀を抜く。数字は、ついに"100の5倍"へ。もはや、天井知らずである。

そして、視聴者を最も画面にくぎ付けにしたと断言してもいい名場面が、最終回での「認めないー! 絶対に認めないー!」という小野田のセリフだ。事件の証拠を掴み、やっとの思いで小野田を追い詰めた香坂は「認めになられますね?」と自白させようとするが、小野田はセリフ被せぎみ、とんでもない剣幕でその言葉を言い放つのだ。

ここまで、香坂と小野田の攻防戦を紹介してきたが、本作には"敵は味方のフリをする"という大きなテーマがある。学園と警察組織、政治家の癒着は、ある種の"ノンフィクション"の物語でもある。『小さな巨人』は、「倍返しだっ!」にも匹敵する名言の数々と、そして深いメッセージ性を持ったドラマと言える。

Writer:渡辺彰浩

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

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放送情報

[字]小さな巨人「新警察ヒーロー誕生 敵は味方のフリをする 裏切り上司を倒せ!!」 第1回

放送日時:2018年3月3日(土)10:00~

チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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