「今の私には絶対にできない」森川葵が初舞台で感じたこととは

舞台「ロミオとジュリエット」に出演した森川葵
舞台「ロミオとジュリエット」に出演した森川葵

昨年末に東京、新潟、大阪、愛知で上演された舞台「ロミオとジュリエット」が、3月10日(日)に衛星劇場で放送される。同舞台は、ウィリアム・シェイクスピア作品の中でも特に有名な恋愛悲劇を宮藤官九郎の演出で送るもので、ロミオ役を三宅弘城、ジュリエット役を森川葵が演じる。
今回、同舞台が初舞台となった森川葵にインタビューを行い、初舞台の感想や苦労、宮藤演出、舞台の裏側、自身の恋愛観などについて語ってもらった。

――初めての舞台の感想は?

「もう毎日が戦いでした。私は毎日同じお芝居をするという経験がなかったので、毎日乗り越えていかなければいけない壁があるというのは本当に大変で、『(舞台袖から)出たくない...』って思う日もけっこうありました。ある時は、稽古の時点で『これでいきましょう』となっていたことが急きょ変更になることもあって、『お芝居の正解って1つじゃないんだな』ということを知ることができて視野が広がりました。お芝居に対する考え方を改めるいいきっかけになりました」

――映像作品との1番の違いは、やはり同じお芝居を続けることでしたか?

「そうですね。こんなに長期間同じお芝居をしていると、自分の中でもいろんなことがどんどん見えてきて、どんどん変わってくるんです。あとは、お客さんの前で演じるということですね。前を向くとたくさんの視線があって、ふと目が合ってしまうことも。そうなると、すごく動揺してしまったり...(苦笑)。あのライブ感は舞台の上でしか味わえない感覚だなって思います」

――ジュリエットを演じていく中で、自分の中で解釈が変わったところは?

「最初は、1人の少女が短い期間で恋をして、少女だからこそ真っ直ぐ過ぎてああいう結末を迎えた"少女の短い恋愛"というふうに思っていたんです。でもやっていくうちに、その短い期間でジュリエットは少女から大人になって、大人になった結果がああいう結末だったのかなという考えに変わっていきました」

――1人の女性としてジュリエットのことをどう思いますか?

「ジュリエットはいろいろなことを1人で決めていくのですが、決断するのってすごく勇気が必要だし、悩むと思うんです。でも、『この人のためならば』としっかりと自分で考えて決断できるというのは、すてきな強い女性だなって思いますね」

――共演者の皆さんはベテランの方々ばかりでしたが、アドバイスをもらったりしましたか?

「本当に舞台経験が豊富で優しい方ばかりだったので、皆さん『何か分からないことがあったら聞いてね』って言ってくださるんですけど、初めてのことばかり過ぎて何を聞いていいのか分からなくて、私からは何も聞けませんでした(泣)。そんな中で、『今日のバルコニーのシーン、すごく伝わってきてよかったよ』などと、皆さんからアドバイスをいただけたので、それにはすごく助けられました」

――宮藤さんの演出については?

「稽古の段階から他のキャストの方が皆さんそれぞれの解釈で演じられていて、『私もこういうふうにしなければいけないのかな』と思ってちょっとだけアレンジを加えて演じたら、宮藤さんから『まずは素直に、思うままストレートに演じてみて』と言われました。だから、私なりの"素直"を出すよう心掛けて演じました」

――稽古の様子は?

「皆さん本当に面白くて、稽古中ずっと笑っていて本当に楽しかったです。本番でよく笑わずにできたなって思うくらい(笑)。ただ、皆さんすごく"笑い"に対して真面目なんです。稽古に入る前はコメディって"力の抜けた感じ"が重要なのかなって思っていたのですが、計算し尽くして"笑い"を生んでいるんですよ。アドリブの"笑い"のように見えるところも、声の大きさから"間"に至るまで、全て計算して演じてらっしゃって。いろんな現場でそういう"笑い"をやってきたからこそ培われたもので、はたから見たら力を抜いているように見える。『今の私には絶対にできない"笑い"だな。やろうと思っても簡単にできることじゃない』と痛感させられました」

――ロミオ役の三宅さんの印象は?

「50歳の三宅さんが、だんだん16歳に見えてくるんですよ。衣装やウィッグ、体の軽さなどがそう思わせるのかなと思うのですが、演じていて『本当にこの人50歳なのかな?』って(笑)」

――ジュリエットは"三宅ロミオ"に一目ぼれしていましたが、ご本人的には一瞬で恋に落ちそうですか?

「一瞬ではちょっと...(笑)。でも、ずっと一緒にいる中で、三宅さんのピュアさや真っ直ぐさに少しずつ触れることで三宅さんへの愛が募っていったので、一目ぼれはしないと思いますが、一緒にいればいるほどどんどん好きになっていくと思います」

――ちなみに、一目ぼれするタイプですか?

「『この人、すてきだな』と思うことはありますね。まとっている雰囲気だったり、周りの方への気遣いなどが垣間見えると『すてきだな』って」

――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします!

「本当にたくさん笑っていただければと思います!シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』というのは一旦置いていただいて、思うままに作品を楽しんでいただければ。そんな中で、クライマックスに向けて切ない気持ちになると思います。それは、これまでの『ロミオとジュリエット』とはひと味違った切なさなんじゃないかなと。笑いあり、涙ありの新しい"クドカンワールド"の『ロミオとジュリエット』をお楽しみください!」

文=原田健 撮影=中川容邦
ヘアメイク=石川奈緒記 スタイリスト=武久真理江
衣装協力=Paul Smith、DLAW jewelry

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放送情報

M&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」
放送日時:3月10日(日)16:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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